2015 Fiscal Year Research-status Report
アミノ酸のキラリティ特異性に着目した統合失調症治療法の開発
Project/Area Number |
26461713
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山本 直樹 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (70312296)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | D-アミノ酸 / 統合失調症 / NMDA受容体 / グルタミン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アミノ酸のひとつであるD-セリンがNMDA型グルタミン酸受容体(以下NMDA受容体)にキラル選択的に作用することに着目し、その脳内代謝機構やその作用調節を解明するとともに、その臨床応用として統合失調症の分子病態に基づいた新規の治療法開発の促進を目指すことを目的としている。前年度までの研究成果を踏まえて今年度は、NMDA 受容体を介してアミノ酸選択的に発現調節を受ける可能性が推測される遺伝子の精神疾患(統合失調症を中心に)関連解析を重点的に行なった。複数の候補遺伝子において統合失調症との遺伝子型およびアリル頻度において関連が認められ、一部の遺伝子の一塩基多型においては性別および統合失調症の発症年齢により階層化した場合に疾患との関連が示された。脳組織内でのアリル特異的遺伝子発現パターンと疾患との関連も明らかにした。発症年齢のちがいによるこのような特性は統合失調症の発症にかかわる分子病態の多様性を示していると考えられる。このように中性アミノ酸のキラル特性に着目した本研究から統合失調症の疾病脆弱性の異質性を示唆する新たな知見が得られた。今後、発症年齢や症状の治療反応性の違いを詳細に調べた上で、その情報に基づいた遺伝子解析を詳細に行なうことにより、統合失調症の病因を解明し、疾病分類の新たな分 子基盤を構築することが可能となると考えられ、さらに、発症脆弱性にかかわる分子機構や、既存 抗精神病薬に抵抗性を示す難治性統合失調症の治療薬開発への応用の手がかりが得られることが期待できると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果を配慮し、疾患との関連に重点をおいた遺伝子関連解析をおもに遂行し、一定の作業行程がおおむね順調に進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
候補遺伝子の統合失調症との関連解析については、現時点で未解析の遺伝子に関してさらに疾患関連を詳細に検討する予定である。試薬や必要な装置、データ解析に必要な統計システム等は現時点で支障なく準備を整えている。
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Causes of Carryover |
前年度に購入した試薬および実験消耗品類が、平成27年度の研究課題遂行にあたっても有効に活用できたことや共同施設活用によって機器ならびに物品維持等に要する費用を抑えることができたため、次年度に繰り越しすることとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に遂行していた核酸解析等(遺伝子関連解析を含む)の研究の一部については翌年度もひきつづき継続しつつ研究の進展をはかるべく、より精度の高い実験によるこれまでのデータの検証作業をふくめ、研究の進捗状況に応じて翌年度に繰り越した予算を有効に活用することとする。
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Research Products
(5 results)