2015 Fiscal Year Research-status Report
抗精神病薬の作用機序を探る;Kv3チャネルファミリーの発現調節
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26461727
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
柳 雅也 近畿大学, 医学部, 講師 (10418775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 治 近畿大学, 医学部, 教授 (40243307)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 定型抗精神病薬 / 非定型抗精神病薬 / 統合失調症 / Kv3.1 / Kv3.2 / 前頭前野 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究協力者であるテキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのDr.Tammingaの協力のもと、定型抗精神病薬であるハロペリドールおよび非定型抗精神病薬であるリスペリドンを長期間投与されたラットの脳を用いておこなったKv3.1およびKv3.2のタンパク定量の結果に加えて、GABA神経伝達のマーカーであるGAD65およびGAD67についてタンパク定量を用いた解析をおこない、抗精神病薬のKv3.1およびKv3.2に対する影響をGABA神経伝達との関連において検討した。ラットの前頭葉において、ハロペリドール投与群およびリスペリドン投与群ともにKv3.1は増加をみとめる一方、Kv3.2はハロペリドール投与群では有意に増加し、リスペリドン投与群では有意に減少するほか、高容量のリスペリドン投与群では著明に増加することが見いだされた。同部位におけるGAD65とGAD67のタンパク定量の結果では、GAD67についてはいずれの群においても有意な発現量の変化をみとめなかったが、GAD65は高容量のリスペリドン投与群において優位な増加をみとめた。さらにこれらのタンパクについて発現量の相関を比較検討したところ、Kv3.2とGAD65のみが強い相関を示し、Kv3.1とGAD65、Kv3.1とGAD67、Kv3.2とGAD67にはいずれも有意な相関をみとめなかった。また、Kv3.1とKv3.2も相関を示さなかった。ラットの小脳におけるタンパク定量では、Kv3.2はすべての抗精神病薬投与群において前頭葉と同様の変化を示したが、海馬や視床、線条体では抗精神病薬による変化を示さなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定型抗精神病薬の代表例であるハロペリドールおよび非定型抗精神病薬であるリスペリドンそれぞれのKv3.1およびKv3.2に対する影響を、GABA神経伝達との関連において前頭前野を中心に評価することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた解析結果についてさらに検討を加えたのち、学会報告をおこない、学術誌への投稿をおこなう。
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Causes of Carryover |
消耗品に関し、おもに研究協力者のDr.Tammingaの援助を受けたため、残金の一部を次年度予算に繰り越すことができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した助成金はおもに翌年度の研究補助院への人件費に充てる予定であり、当初予定の次年度助成金は当初の計画に沿って翌年度のデータ解析や学会発表などに関わる経費に充てる予定である。
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