2015 Fiscal Year Research-status Report
脳脊髄液中のマイクロRNAを用いた精神疾患バイオマーカーの開発
Project/Area Number |
26461731
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
服部 功太郎 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所疾病三部, 室長 (50415569)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオマーカー / 精神疾患 / microRNA / 脳脊髄液 / exosome / extracellular vesicles |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、統合失調症、うつ病など精神疾患の脳脊髄液(CSF)中miRNAマーカーを開発することが目的である。前年度はCSFマイクロアレイデータの統計解析により193分子を選択し特許申請した。それらのマーカー候補を定量PCRにより検証することを目指していたが、CSF中のmiRNA濃度が極めて低いため既存のリアルタイムPCRでは十分な感度・定量性が確保できなかった。本年度は、施設に新たに導入されたデジタルPCRによる検証を目指していた。デジタルPCRはメーカーのトレーニングと技術指導を受けつつ実施した。7つのプローブ(RNU44, 48, miR-24, 659, 4484, 4515, 4749)について条件検討を行い、少なくとも4プローブについて測定可能となったが、1000 copy以下では定量性が不十分であることも判明した。また、10種のプローブの解析により、リアルタイムPCRのCT値と、マイクロアレイの蛍光強度との間には関連が認められ、デジタルPCRの1000copyはアレイの約400RFUに相当することが判明した。そこで、昨年度のアレイの解析結果より平均蛍光強度が400RFU以上の分子40を、再現確認可能性の高いマーカーとして再選択した。 また、感度の向上と背反するが、マーカーの機能的な意義を考えるうえでは近年、ガンやアルツハイマー病で最近研究が進んでいるextracellular vesicles (EVs)に含まれるmiRNAを測定することも重要であると考え、CSFにおけるEVs由来のmiRNAを測定する系の開発も試みた。主要三社(Q社、I社、S社)のキットを用いたところいずれも類似した結果(3種のプローブで測定)を得られたが、Q社が優れていいた。また全miRNAのうちEVs由来が10-30%以上と高率を占めていることも予備的に判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度、第一の目標であったデジタルPCRによるCSF中miRNAの測定系は構築できた。飛躍的な感度・定量性は得られなかったが、これはガン等と比べ精神疾患の特性上マーカーの統計的な効果量が小さく求められる定量性が高い(概ねCV<20%)であることも影響している。第二の目標であった候補マーカーの検証は次年度に持ち越されることになった。一方、本年度までの結果をもとに、候補分子自体を発現量(検証可能性)の高さで絞りこむことができた。また、機能的意義の高いEVs由来のCSF中miRNAを測定することにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は定量可能であったトップ候補分子について検証を試みる。発現量が高い分子についてはコストの低いリアルタイムPCRを用い、統計上は有望であるが発現量が低めの分子についてはデジタルPCRを用いる。また、発現量が高い分子について、より機能的意義の高いEVsにおける発現も検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた、多数の症例による検証実験をまだ行っていないため、その試薬購入費用が残っている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に当該実験を行い使用する予定である。
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