2015 Fiscal Year Research-status Report
機能的MRIと脳波の同時計測によるdefault mode networkの検討
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26461757
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
桐野 衛二 順天堂大学, 医学部, 教授 (90276460)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | default mode network / functional connectivity / fMRI / sLORETA / schizophrenia / EEG / 同時計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、健常対象においてOff-lineデータ処理を確立した。SPM8 package (Welcome Department of Cognitive Neurology, London, UK)を用いる。SPM8による基礎的なデータ処理に続いて、seed-to-voxel FC (functional connectivity)およびROI-to-ROI FCをthe conn toolbox (Whitfield-Gabrieli and Nieto-Castanon, 2012)を用いて群間比較を行った。ROI-to-ROI FC (ROI: Region of Interest)では、DMN内の各node(mPFC, PCC/precuneus, IPL, hippocampus)間のFC、DMN内の各nodeとDMN以外の間のFCを評価した。(mPFC: medial prefrontal cortex, PCC: posterior cingulate cortex, IPL: inferior parietal cortex) また脳波とfMRIの同時解析も行った。波形解析およびアーチファクト除去にはBrain Vision社製Vision AnalyzerⓇを用いた。アーチファクト除去後の波形より、8の周波数帯域のoscillationのlocalization解析およびDMN内の各node (mPFC, PCC, IPL)間のconnectivityをsLORETA software (LORETA-Key®)を用いて評価した。Pascual-Marquiら18,19)により提唱された方法により、causal connectivity analysis (nonlinear similarity, phase-synchronization)を行った。 さらに統合失調症患者におけるDefault Mode Network (DMN)をfunctional MRI (fMRI)と脳波の同時計測を用いて検討した。統合失調症患者群では健常対照群と比べて、DMN内のnode間でmPFCを起点とするFCが亢進している可能性が示唆された。これら所見より、統合失調症では内向的な精神活動は過活動な状態あり、妄想や自閉的思考などの臨床症状の基底にある病理とも考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常群でのfMRIの解析法を確立しただけでなく、脳波とfMRIの同時計測の方法も確立しえた。この方法の利点は、従来のcoherence-typeの解析と異なり、lagged connectivityを解析し、さらに頭皮上電位ではなく、推定された頭蓋内の神経活動を解析することである。このことによりvolume conductionによるアーチファクトやzero-lag contributionの影響を排除できる。 統合失調症の検討においては臨床症状評価との関連や、fMRIと脳波データの間の統合が不十分といえる。また対象疾患を認知症・発達障害・感情障害に広げる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
結果の一貫性は未だ低いと言わざるを得ない段階ではあるが、fMRIおよびEEG/sLORETAの結果を通観すると、統合失調症患者群では健常対照群と比べて、DMN内のnode間でmPFCを起点とするFCが亢進している可能性が示唆された。ただし、群間比較においては、有意ではなく傾向に過ぎない所見も多いため、結果の解釈には慎重を要する。また臨床症状評価との関連や、fMRIと脳波データの間の統合を試みる必要がある。 発達障害症例に対象を拡げ、臨床症状評価との相関も検討する必要がある。またBaron-Cohen が開発した3種の社会性指標SQ-EQ-AQとの関連についても検討する予定である。 さらに対象疾患を認知症・感情障害にも広げる必要がある。 倫理的・人道的配慮に関しては今後も十分な注意をもって継続していく。
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