Outline of Annual Research Achievements |
【目的】長期入院から地域移行した精神障害者の高齢化が進む中,その支援ニーズの背景にあると考えられる身体・認知機能と主観との関連について検討する。 【方法】2015年3-10月福島県郡山市のグループホーム利用者のうち60歳以上の84名に対し以下を評価した。A.支援ニーズ, B.主観: 主観的健康感・認知機能, 精神的ウェルビーイング(WHO-5), 向老意識(PGCモラールスケール), C.身体・認知機能: 発音テスト, 握力, Timed Up & Go Test (TUG), Functional Reach(FR), Mini Mental State Examination (MMSE)。その結果から60-64, 65-69, 70-74, 75-79歳の4群において, 身体・認知機能と主観の違いを検討する。 【結果】全検査を完遂した67名 (男47名, 平均68.8±4.5歳, 統合失調症61, 双極性障害3, 他)を解析対象とした。握力24.8±8.1kg, TUG8.6±3.8秒, FR 20.1±9.1秒, 発音テスト20.8±10.2秒, MMSE 24.0±3.9, 主観的健康感3.1±0.8, 主観的認知機能2.2±0.8, WHO-5 62.5±16.9, PGCモラールスケール10.0±3.7であった。身体・認知機能は, 多くの項目で60-64歳群と65-69歳群で有意差を認めた。主観的認知機能は60-64歳群に比べ70-74歳群は有意に低かったが、74-75歳群ではむしろ高かった。精神的ウェルビーイングや向老意識では, 年齢群による有意差を認めなかった。 【結論】地域生活する精神障害者は, 加齢とともに身体・認知機能の低下を経験するが, 主観的には満足していることが伺われた。また, 認知機能低下に伴い, 認知機能低下の自覚はむしろ低下したと考えられた。
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