2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26461791
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉川 武 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40332788)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 良治 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30324924)
神山 久信 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (30546487)
松本 純明 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60397833)
西尾 瑞穂 公益財団法人先端医療振興財団, その他部局等, 研究員 (50581998) [Withdrawn]
祖父江 慶太郎 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (90622027)
杉村 和朗 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00136384)
村瀬 研也 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50157773)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 肝 / 血管内皮機能 / せん断応力 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
希釈造影剤を用いた固定ファントムでの基礎的検討では、最新の32チャンネル受信コイル、最短の繰り返し時間およびエコー時間、10°のフリップ角が適切と考えられた。 生体内で肝動脈・門脈・肝静脈すべてのせん断応力の測定可能となる心電同期・呼吸同期法を付加した3D-Phase Contrast法を開発し、健常ボランティア10名にて撮像を行った。撮影マトリックスは時間の許す限り大きくすることで動脈分枝での測定が改善した。脈波同期法と心電同期法では有意な差はなく簡便な脈波同期が可能と考えられた。呼吸同期法では深呼気同期が優れた。Velocity encodingは80,40,30cm/sを検討し、動脈系は80m/s、門脈、肝静脈では30cm/sが優れた。肝動脈、下大静脈では一定しなかった。算出された血流量および脈管断面積は過去の報告と近似しており本検討の測定系全体としての妥当性が示唆された。せん断応力は本法での一脈管系毎で約20分の解析時間により約10-20時間を要するCFD法による報告とほぼ同様の結果が得られ有用性と妥当性が示された。せん断応力は口径の大きい脈管で高値を示す傾向であった。血流の流線ベクトルは滑らかであり合流部および分岐部を除き乱流はみられなかった。 肝疾患を有さない5症例にて測定を行った結果、ボランティアと比較し流量は全体に低下傾向で、せん断応力は動脈でばらつきが目立ち、加齢性変化およぶ動脈硬化性変化が考えられた。血流の流線ベクトルは動脈分岐部でのやや強い乱流を示す症例がみられた。 慢性肝炎、肝硬変を有する5症例にて測定を行った結果、血流量、せん断応力ともに動脈および門脈系でばらつきが目立ち、肝疾患による変化が加わっていると考えられた。門脈ではうっ滞により血流ベクトルが描出されない例が少数みられた。 体幹部脈管での測定精度向上のための血流解析ソフトウエアの改良を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MRI撮像時のVelocity encodingの設定に関して、最適値の個人差が特に臨床症例では想定以上に大きく、更なる検討が必要となっている。 計画では超音波ドプラ法をreferenceの1つとして用いる予定であったが、各測定間および施術者間で再現性が想定以上に不良であり、基本的な精度が不足していると考えられた。このため新たなreferenceとして、流体ファントムによる検討の追加、2D-PC法+CFD法による検証、などを考慮している。 撮像方法が確立するまでの期間において、長いMRI撮像時間が身体的負担になる可能性を危具し臨床症例の集積開始を延期したため計画より遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度に肝疾患症例を含めて確立したMRI撮影法と血流解析法およびせん断応力測定法にて、健常ボランティア10名に対して撮影と測定を行い、ソフトウエアの改良に向けたデータ集積を行う。肝動脈・門脈・肝静脈での結果の相違を検証し、超音波ドプラ法での血流解析結果との比較を行い、妥当性を検証し最適化を進める。ずり応力の正常値と正常分布像を設定する。 書面による参加の同意が得られた明らかな肝疾患を有さない症例10名に対して、撮影と測定を行い、臨床データの集積を行う。明らかな肝疾患を有さない場合のパラメータの精度向上を行い、ずり応力と分布像の基準値を設定する。これらにより妥当性の検証と有効性を検討し、肝疾患症例に対する基礎データとする。肝動脈・門脈・肝静脈での結果の相違を検証し、下記ソフトウエアの改良に向けたデータ集積を行う。 書面による参加の同意が得られた50例の肝疾患患者に対して、撮影と測定を行い、臨床データの集積を行う。有効パラメータ抽出、3血管での結果の相違の検討、ボランティアおよび非肝疾患群との比較を進め、各肝疾患での相違を抽出する。各肝疾患の評価に有用な機能的肝機能測定ずり応力パラメータ値と肝動脈・門脈・肝静脈の重点比率の精度向上を行う。他の臨床データと比較し、妥当性の検証と有効性の検討を進める。 引き続き精度向上のためソフトウエアの改良を行う。全身の高循環状態、肝腫瘍、門脈および肝静脈腫瘍栓、動門脈および動静脈短絡、門脈圧亢進症、門脈血栓症などの有無が血流解析とずり応力測定に与える影響を検討し、これらの病態の評価に有効であるかも検証する。 上記肝疾患例のうち経過観察が可能な例で予後予測および合併症予測に有効なパラメータを抽出する。抗ウイルス療法、手術、IVR治療、放射線治療、薬物療法などの前後で測定が可能であった症例にて効果判定法と治療後肝機能予測法の開発を行う。
|
Causes of Carryover |
測定画像データの一時保存用PCよりデータ解析用PCへの高速データ移行用USB接続機器購入用資金であった。相当量の測定画像データの蓄積を待ち26年度後半に購入しようとしたが、26年度中に現物が入荷しなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
測定画像データの一時保存用PCよりデータ解析用PCへの高速データ移行用USB接続機器購入用資金であり、可及的速やかに購入予定である。
|