2014 Fiscal Year Research-status Report
固体標的の遠隔的調製を含む放射性金属核種製造法の開発
Project/Area Number |
26461814
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
永津 弘太郎 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 主任研究員 (30531529)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 放射性金属核種 / 標的アイソトープ治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
核医学の発展に伴い放射性金属核種の有用性,具体的にはイメージング目的にとどまらず,標的ラジオアイソトープ治療への展開が期待されている。本研究では当該金属の一つCu-64について,標的の準備調製を含めた遠隔自動製造法の確立を目的とする。 本年度の研究は,Cu-64製造時に必要となる原料物質(Niターゲット)の電着に関し,擬似的な照射容器の設計・製作,並びに効果的な電着条件の検討を行った。本照射容器の設計では,導電性のセラミック(グラッシーカーボン)を電着基盤材料に選択し,耐腐食性と耐ビーム性,並びに金属製不純物の溶出低減等を意図した。耐腐食性は同材質の試験片を硝酸中に放置し不変であったこと,製造条件と同じ照射条件で同試験片を照射し破損なきことをそれぞれ確認した。 電着を効率的に行うためには,印加中に電極から発生・付着する水素を除く必要がある。本研究では,照射容器中の含Ni溶液を一定周期で排出・再注入することで電極上の脱泡を試み,電着を遠隔自動的に,また安定的に可能とする装置を開発した。同装置を用い,効果的な電着条件を評価したところ,負荷電流が高いとき,及びNi濃度が低いとき,それぞれ単位電流・単位時間当たりに電着されるNiが多くなる傾向を確認した。 一方で,最大数日に渡る電着期間中,僅かな量のNi溶液がグラッシーカーボン内部へ浸潤し,意図しない部分にNi塩の析出を確認した。この原因として,多孔質に分類されるセラミックであること,及び電気勾配によって物質の移動が加速されること等を考えている。本現象が実際の核種製造や耐ビーム性に及ぼす影響は未だ評価出来ていないが,グラッシーカーボンを代替できる材質について,現在調査を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
核種製造のための準備に相当するターゲットNiの電着に関し,遠隔自動的な調製を行えることが確認出来た。電着したNiはビーム軌道上約100μmの厚みを示し,十分なCu-64収率が期待出来る調製と判断し,擬似的な照射容器内での検証ではあるが,実照射装置へ適合可能な照射容器の設計展開・試験照射・製造を行うための基礎評価を完了した。従って,次年度からは上記項目にあるとおり,実践的照射へ向けた検討を開始する。 但し,一部のNi塩が析出した結果を踏まえ,グラッシーカーボンを代替する材料検討を行う必要がある。具体的には耐腐食性を考慮し,一般的な金属核種製造で幅広く応用されているAuの採用を検討している。貴金属であるAuの利用を最小とすべく,卑金属とAuの熱間等方加圧法(HIP接合)によって容器内表面がAuで覆われた材料の採用を検討し,その実用性評価も平行して行うこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎的評価が概ね完了していることから,電着条件の詳細な検討を行った後,試験的な照射による実製造評価を行う。 具体的には,1)Niの電着が可能な実照射容器の設計と試験的小規模照射・生成量評価;2)グラッシーカーボンを代替する接合Au基盤上への電着評価;3)上記2(接合Au基盤)上へのNi電着とそれを利用する小規模試験照射による応用可能性の評価 等を計画する。
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