2014 Fiscal Year Research-status Report
MRI微小灌流・拡散定量による脳腫瘍診断への包括的アプローチ
Project/Area Number |
26461828
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 孝二 九州大学, 大学病院, 助教 (80546565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋渡 昭雄 九州大学, 大学病院, 助教 (30444855)
栂尾 理 九州大学, 大学病院, 助教 (10452749)
吉浦 敬 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40322747)
本田 浩 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90145433)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 拡散強調画像 / 灌流強調画像 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
撮像パルスシーケンスの最適化 九州大学放射線部の臨床用3T MRI装置を使用し、IVIMイメージング撮像パルスシーケンスの開発および最適化を行った。具体的にはファントムを用いてテストを施行後、健常ボランティアに協力していただき、パラメータを変更しながら撮像し、最適な条件を決定した。IVIMモデルの計算はbi-exponential curveへのフィッティングで行われるため、より多くのb値を用いる事により、得られる値の信頼性を高める事が望ましいが、単にb値を増やすだけでは撮像時間の延長につながるため、臨床現場で用いる際には撮像時間を減らす、つまりある程度b値のサンプリングを減らすことが求められる。ただし、Lemkeらが述べているように、少なくとも10個以上のb値が必要とされている。実際には健常ボランティアにおいて、b値の値およびサンプリング数、スライス枚数・スライス厚などを変えながら撮像を行った。両者(得られる値の信頼性および撮像時間)のバランスを考慮し、3分程度で撮像可能な条件を設定した。今回は13個のb値を用い。11スライスの撮像とすることにより目標を達成した。 IVIM法から得られるパラメータの信頼性に関しては、D値(真の拡散係数)およびf値(灌流の比率)のずれは少ないが、D*値(灌流を拡散とみなした偽拡散係数)は過去の報告同様ずれが大きい傾向にあった。現在倫理審査委員会の承認を経て脳腫瘍患者でのデータを蓄積中であり、今後は数値のずれが少ないD値およびf値を用いて比較検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
撮像パルスシーケンスの最適化は、10個以上ののb値(13個)を用い。11スライスの撮像とすることにより3分程度で撮像可能な条件を設定する事が可能となった。他の撮像方法と比べても同程度またはそれ以下の撮像時間で行え、被験者の負担も軽減できる。また、造影剤も必要とせず、本方法に関しては侵襲性は非常に低い。3T MRI装置を使用する事で、通常の脳腫瘍術前のプロトコールに組み込む事も容易となった。し、IVIMイメージング撮像パルスシーケンスの開発および最適化を行った。 従来の定量値測定法として、dynamic susceptibility contrast(DSC)法を用いた脳血液量測定、Arterial spin labeling(ASL)法を用いた脳血流量測定があるが、定量の際は動脈入力関数に依存し、特にASL法では脳血管障害を有する患者での定量性は疑問視されている。本研究の成功により、脳腫瘍診断におけるIVIM法から得られるパラメータの意義が明らかとなれば、同時取得可能な拡散情報とあわせて脳腫瘍の診断・治療法および予後推定に有用となるだけでなく、将来的な医療費抑制にも貢献する事が期待される。 得られる値の信頼性に関しては、D値(真の拡散係数)およびf値(灌流の比率)の検査間のずれは少ないが、D*値(灌流を拡散とみなした偽拡散係数)は過去の報告同様ずれが大きい傾向にあった。現在倫理審査委員会の承認を経て脳腫瘍患者でのデータを蓄積中であり、今後は数値のずれが少ないD値およびf値を用いて比較検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
脳腫瘍患者でのデータ収集 脳腫瘍術前患者の画像データおよび臨床データを収集する。画像データとしては、灌流画像としてIVIM法、ASL法を撮像する。その他、単純CT、造影CT(CT灌流画像)、MRA、および必要に応じてポジトロン画像を撮像する。臨床データとして年齢・性別、既往歴、血液データを記録する。症例数は合計で50例程度を目標とする。 IVIM法を用いた脳腫瘍の悪性度による鑑別法・予後推定法の確立 蓄積した脳腫瘍患者の画像データ解析により得られたD値(真の拡散係数)およびf値(灌流の比率)を正常被験者の画像データより得られた値と比較して診断能を検討する。検討項目としては、1)脳腫瘍の違いによる前述パラメータの変化(特性)、2)WHO gradeの違いにおける神経膠腫等の良性・悪性度鑑別能、3)細胞分裂の程度を示すマーカーである、Ki-67値との相関を評価・判定する。研究目的の項にて述べたとおり、IVIM法は灌流に加え分子拡散の情報も取得でき、灌流・拡散に関してはレジストレーションの必要がない。同時に取得可能なADC値を加えて、診断能の評価・検討を行う。 他の脳血流測定法との比較・検討 IVIM法にて得られたデータを、従来法での脳腫瘍の悪性度鑑別能と比較し性能評価を行う。従来法としてはDSC法とASL法に代表される。IVIM法ではボクセル内の微小灌流を対象としているため、DSC法やASL法とは異なる情報が得られる事が期待され、微小循環指標の生理学的な意義の解明や、従来法との組み合わせにより、診断能向上を図る事も視野に入れている。
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Causes of Carryover |
画像解析用ソフトウェアおよび論文作成用ソフトウェア購入等に際して、アカデミック版購入や期間限定の割引価格等により費用を抑える事ができた点が挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
撮像パラメータの最適化が終了したため今後は本格的にデータ蓄積・解析を行い、次年度以降は本年度の成果を含めた国内・国際学会発表の機会が増える事が予想される。学外研究者とのミーティングを行う必要性も出てくる。
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Research Products
(3 results)