2015 Fiscal Year Research-status Report
門脈圧亢進症に対するIVR治療と自己骨髄細胞投与療法による新規肝再生療法の開発
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26461853
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石川 剛 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20569305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 拓也 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80634716)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 門脈圧亢進症 / 肝硬変症 / 部分的脾動脈塞栓術 / バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術 |
Outline of Annual Research Achievements |
<計画1>脾機能亢進・胃静脈瘤・肝性脳症などを合併する肝硬変患者を対象に、平成27年度に①部分的脾動脈塞栓術(PSE)を10例(前年度と合わせて計20例)・②バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)を4例(前年度と合わせて計15例)・③PSE/B-RTO併用療法を1例(前年度と合わせて5例)に施行し、血行動態をはじめとする肝硬変患者特有の病態に及ぼす影響(効果)について解析・検討した。 1, 血圧・脈拍はいずれの群でも著変なく、心拍出量は全群で有意に低下した。2, 門脈血流量は①で有意に減少、②で有意に増加、③でほぼ横ばいであり、それらを反映して肝静脈楔入圧・肝静脈圧較差はいずれも①で有意に低下、②で有意に上昇、③でほぼ横ばいであった。3, 肝・脾容積に関しては、①で脾容積が有意に縮小、②で肝容積が増大傾向、③では有意な変化は認められなかった。4, 門脈径は①で有意に縮小、②で有意に拡張、③で不変、一方総肝動脈径は①で有意に拡張、②で有意に縮小、③で不変であった。5, 血液生化学的検査においては、全群において肝機能改善効果が認められ、特に③でそれが顕著であった。6, 肝組織学的検査・ウェスタンブロット・免疫染色などは現在施行中である。 <計画2>門脈圧亢進症に対するIVR治療(PSE単独, B-RTO単独, PSE/B-RTO併用)先行自己骨髄細胞投与療法 (ABMi療法)に関しては、ABMi療法自体が当該年度に1症例しか施行されず、3群を比較・検討することは不可能であった。その1例はPSE/B-RTO併用療法先行症例であり、今後PSE単独先行、B-RTO単独先行症例を増やして解析・検討を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
<計画1>研究計画書では、肝組織学的検査(HE染色・Azan染色・Sirius red染色)、肝組織や血清を用いたウェスタンブロット・ELISA・免疫染色(αSMA・desmin・F4/80・PCNA・Ki-67・HGF・ EGF・ FGF・TGFα・TGFβ・ PDGF・TNFα・MMP2・MMP9・TIMP1・TIMP2 など)を施行予定であったが、当初エコー下肝生検の承諾が得られずサンプル採取に難渋した。 <計画2>自己骨髄細胞投与療法 (ABMi療法)の適応に合致する症例が極めて少なく、当該年度では1例のみにABMi療法が施行されるにとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降に予定していた基礎・臨床研究のうち、特に以下の臨床研究に主眼をおいて研究を進めていく。そのためには、ABMi療法の適応に合致した症例を県内外から集める必要があり、学会・研究会・HPなどで周知しなければならない。 【臨床研究】「脾機能亢進に伴う汎血球減少」あるいは「出血のリスクを伴う孤立性胃静脈瘤」を合併する肝硬変患者を対象に、「PSE単独」・「B-RTO単独」・「PSE/B-RTO併施」を先行させた上でABMi療法を施行し、その前後における下記の検査項目の変化を解析して、それらが非代償性肝硬変患者にもたらす有効性の差異について検討する。 <検討項目>(1) 血液生化学検査 (2) 腹部超音波検査 (3) 肝弾性値測定 (4) 腹部dynamic CT検査 (5) 肝組織学的検査 (6) ウェスタンブロット・ELISA・免疫染色(肝組織・血清)
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Causes of Carryover |
PSE単独例・B-RTO単独例・PSE/B-RTO併施例に関しては順調に症例数が増えているが、当該年度においてABMi療法の症例数が極めて少なかった(適応を満たす症例が1例のみ)ため、特に臨床研究の進行が遅れてしまった。従って当初計画していた研究が予定通りに進まず、計上していた物品費などを全額使用することなく当該年度の活動を終えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に完遂できなかった研究内容も含めて、研究計画書通りに基礎および臨床研究を進めていく。
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