2014 Fiscal Year Research-status Report
負荷心筋スペクトにおける心筋摂取率の有用性に関する研究
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26461858
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
冨口 静二 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (20172182)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 心筋摂取率 / 心筋血流 / SPECT / Tl-201 / Tc-99m / 虚血性心疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
負荷心筋血流PET検査(PET-MPI)による冠循環予備能(CFR)は、冠動脈疾患(CAD)患者の独立した予後指標である。負荷心筋血流SPECT(SPECT-MPI)でもダイナミックSPECT検査で検討されつつある。しかし、心筋血流製剤の2回投与による患者被曝線量(被曝量)の増加や処理が煩雑といった問題がある。そこで、負荷時のみの検査で簡便にCFRを反映する指標の臨床的有用性は高いと考えられる。また、心筋血流製剤としては初回循環心筋摂取率の高い201Tl製剤が99mTc製剤より有利で、201Tl製剤でCFRを評価した報告も少ない。本研究の目的は、最大冠動脈拡張の得られるアデノシン負荷による負荷時左室心筋摂取率(心筋摂取率)はCFRを反映する指標と考え、心筋摂取率を簡便に算出するプログラムを開発し、算出した指標の臨床的意義を明らかとすることである。心筋摂取率自動算出プログラムの開発およびデータ処理・解析用ワークステーションを揃えて研究環境を整備した後に、次の項目に関する研究を行った。心筋抽出に関しては5種類のファントムで正確な心筋輪郭抽出が可能であった。また、臨床例においては、目的とする視覚的には異常が存在例においては、90%程度可能な結果であった。さらなる改善が必要で、今後改善を加える。SPECT値の定量においては、2検出器型ガンマカメラの結果では、減弱・散乱線・分解能補正に加え、部分容積効果補正も必要であった。ファントム実験ではFWHMが20mmを超える場合に必要であった。半導体検出器型心臓専用SPECT装置では、被ばく低減のためTl-201の投与量を半量に減量した場合でも5分程度のデータ収集で十分が画質が得られることがファントム実験で明らかとなった。摂取率検討のための臨床例のデータも50例以上確保できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ファントム実験により、心筋輪郭抽出法を確立し、摂取率算出のための心筋SPECT値の定量評価法も確立した。また、Tl-201の通常の半量投与でも摂取率算出に必要な十分な画質も得られることも明らかとなった。これらの技術的方法が確立でき、また、対象とする臨床例も50例以上確保できており、当初の研究計画の遅れはなく、予定通り進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
Tl-201 心筋血流 SPECTが施行され、冠動脈CT血管撮影あるいは冠動脈造影が施行された例をこれまで収集した臨床例を対象として、ファントム実験で確立した方法で心筋摂取率の正常範囲より低い値を呈した異常例における心筋摂取率の冠動脈病変診断における有用性を検討する。また、Tl-201低投与量の画質への影響も臨床例で検討する。デジタルデータの臨床評価にはノートパソコンを使用する(平成27年度購入)。なお、摂取率算出に関して、輪郭抽出法等に改善の余地が残されているため、臨床例の検討と共に引き続きファントム実験により改善法も検討する。
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Causes of Carryover |
計画の遂行に必要な物品の購入に、残が不足したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年に、データ収集や読影等に必要なノートパソコンの購入に本年度分を併せ使用する。
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Research Products
(6 results)