2014 Fiscal Year Research-status Report
ナノ炭素複合素材と電界紡糸技術を用いた高生体適合性細径カバードステントの開発
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26461862
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
本郷 哲央 大分大学, 医学部, 助教 (70419646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 昌宏 大分大学, 工学部, 教授 (00290742)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カバードステント / 膨張化炭素繊維 / ナノファイバー / 末梢血管用ステント / 血管内治療 / エレクトロスピニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は細い血管への適応が可能なカバードステントによる末梢動脈瘤の低侵襲治療を確立するために、生体親和性が高くかつ細径のカバードステントを作成することを目的とした基盤研究を行う.これまでの研究の実績を以下に述べる. 1.硬質ポリウレタン、ポリエステルでの膨張化炭素繊維と複合素材でのエレクトロスピンによる薄膜作成と強度試験):ポリマーとして,硬質ポリウレタンおよびポリエステルの複数のサンプルを選択し,電界紡糸用のサンプルを作成した.硬質ポリウレタンにおいては常温でメチルエチルケトンにて溶液が作成可能であった.一方素材の強度が高いものの,常温で溶媒への安定が困難であるとされたポリエステルについても,非結晶型のポリエステルを選択し,メチルエチルケトンとともに少量のトルエンを加えることで,常温にて安定した溶媒を作成することができた. ポリウレタン,ポリエステルいずれにおいても安定したエレクトロスピニングよる1μから700nm幅の繊維が作成が可能であった.次に素材として有利なポリエステルを選択し,膨張化炭素繊維とのコンポジットを作成し,平面基盤に吹き付け複数のシートを作成に成功した.これらのシートを多機能引張試験器具にて様々な炭素濃度での強度実験を(引張試験)行い,破断応力,破断伸びを検証し,最適な濃度を検証した. 2.細径カバードステントに最適なステントのデザインを明かにする。 :今回ステント厚み30μmの自己拡張型ナイチノールステントを複数パタン設計し、上記非結晶型ポリエステルにて電界紡糸を行い,電界紡糸に有利なステントデザインを決定した.より小さなストラットを持ったものが電界紡糸で安定した膜を作成することが可能であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は生体親和性が高くかつ細径のカバードステントを作成するため膨張化炭素繊維(ナノ炭素)を用いた複合素材をエレクトロスピニング法(電界紡糸法)を用いてカバードステントを一体形成し、分枝血管のへ臨床応用を目的とし以下の3つを具体的内容としている.A.硬質ポリウレタン、ポリエステルとナノ炭素との複合素材を電界紡糸した薄膜を作成し、強度が高く表面摩擦抵抗の少ない素材の組合せ、配合比を明かにする。B.細径カバードステントの適切なナイチノールステントのデザインを明かにする。C.カバードステントの留置後の新生内膜の形成、異物反応の有無を明かにする。 Aについては硬質ポリウレタン,ポリエステルでのナノ炭素との複合材料の作成,電界紡糸が成功しており,ポリエステルにおいては強度が高く,表面摩擦の少ない素材の組合せが決定している. Bにおいても複数のステントデザインを作成し,電界紡糸を行いカバードステントのサンプル作成に成功している. Cにおいては現在行われていないが,27年度に埋め込み試験がスケジュールされている.
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Strategy for Future Research Activity |
1.カバードステントの細胞毒性試験 今回の研究で使用される素材にはすでに医療材料として実績のある素材を選定しているもののであるが、あらたな素材として含まれる膨張化炭素繊維(ナノ炭素)や溶媒を含めたカバードステント全体の毒性を検証する必要がある。それぞれの複合素材によるカバードステントサンプルを作成し、真空乾燥機にて処理、溶媒を揮発させた後、断片化し、滅菌処理を行う(現有機器)。 それぞれのサンプルをalpha-MEM培地中でインキュベートした後の培地を回収し、CHO細胞に処理する。処理後、コロニー形成法により細胞毒性を調べる。 2.In vivoでのステント留置試験および新生内膜の程度を各素材にて比較する(清末) 作成されたステントの内膜新生の可否,異物反応の有無を検証するために、In vivoでの慢性期試験を施行する。:これまでの研究にて明かとなった最適化された条件にてカバードステントを作成し、デリバリーシステムへマウントした後、ガス滅菌処理を行う。In vivoでの評価はブタを2頭用いる。ブタの大腿深動脈、深腸骨回旋動脈をコイル、NBCA-lipiodolを用いて塞栓し、動脈瘤モデルを作製する。瘤をカバーするようにカバードステントを留置する。ポリウレタン、ポリエステルとそれぞれの複合素材によるカバードステントを使用する。留置後経過観察期間は1週間、3週間で、それぞれ確認造影にて動脈瘤に対する血栓形成を評価する。その後直ちに標本を摘出し、組織学的に新生内膜の有無、異物反応の有無等生物学的反応を検索する。ポリウレタン、ポリエステルおよび炭素による複合素材の内膜新生に関する作用を検証する。あわせて血栓付着の有無など初期開存能や異物反応についても検討する。
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Causes of Carryover |
購入予定であった電界紡糸装置の価格が当初の見積りより安価であったため差額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は作成されたカバードステントへの移植実験が行われ,その費用および摘出標本の病理標本作製費用に仕様する予定.
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