2015 Fiscal Year Annual Research Report
高LET重イオン飛跡構造に基づく微視的及び動径線量評価と生物効果モデルへの応用
Project/Area Number |
26461885
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大澤 大輔 京都大学, 放射性同位元素総合センター, 助教 (90324681)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 二次電子放出 / マイクロドジメトリ / 飛跡構造解析 / 生物効果モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は 1. 重イオン+水分子衝突による二次電子生成二重微分断面積(DDCS)の系統的測定とそれを用いた飛跡構造の取得 2. マイクロドジメトリ測定系の構築による飛跡構造の実験的検証 3. Chatterjeeモデルの検証と飛跡構造の生物効果モデルへの応用 の3つである。初年度に引き続き、放医研930AVFサイクロトロンにより加速された重イオンビームを用いて、これまでのブラッグピーク領域のHe2+, C6+入射に続いて等速のC4+, O8+, O5+, Ne10+, Ne6+入射でDDCSを広範囲に系統的に測定した。歪波ボルン近似による理論計算(CDW-EIS)、H+入射における半経験的解析式(Ruddモデル)のZ2スケーリング(xZ2, Zは入射イオン電荷)と比較したところ、CDW-EISとは特に低エネルギー領域(<100 eV)で良く一致した一方、Ruddモデルスケーリングとは一致せず高Zイオン入射ではボルン近似が過大であることが分かった。続いて、DDCS実験値とCTMCによるDDCS理論計算との比較、それらを組み込んだ重イオントラックコードを開発し、動径線量分布と線エネルギー、比エネルギーといったマイクロドジメトリ量を計算した。動径線量分布とChatterjeeモデルとの比較ではChatterjeeモデルの特徴である「コア領域の一様高線量密度」、「コア領域とペナンブラ領域とでLETが等分配されるエネルギー等分配則」が成り立たないことが分かった。現在まで、飛跡構造の実験的検証と生物効果モデルへの応用についてはまだ達成できていない。今後、放射性同位元素総合センターにて組織等価型比例計数管(TEPC)を用いてRIからの放射線による予備実験を進める予定である。
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