2015 Fiscal Year Research-status Report
強度変調放射線治療における治療計画法の標準化と均てん化に関する実験的・臨床的研究
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26461892
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
柴田 徹 香川大学, 医学部附属病院, 教授 (40293857)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 強度変調放射線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
当院においては厚労支局への届出承認を経て、平成26年10月より強度変調放射線治療(IMRT)を開始した。他施設に比べ大幅に遅れたものの、開始後は順調に症例数が増加しており、1年6か月時点で、頭頸部癌36例、前立腺癌62例、子宮頸癌2例の合計100症例に対する治療を実施した。 VMATの治療計画法の開発研究を実施、以下の通り、頭頸部癌IMRTのprotocolを確定した。頭頸部癌36例のうちSIB法(70Gy/63Gy/56Gy)にて治療を実施したものを選択し、治療計画データを活用し実験的な治療計画を試みた。回転ビーム本数とコリメータ角度を変更し複数回の最適化計算を実施し、標的線量の均一性、リスク臓器の線量低減について比較検討を行った。データ数を増して詳細な検討を行ったところ、3arc法(従来の方法にコリメータ方向を90°/270°回転としたarcを加える方法)が線量分布の改善に関して優位であるとの結果を得た。反面、ビーム本数の増加や最適化条件の要求の増加に伴って最適化及び線量計算時間が増加するので、スループットの点で問題が残るが、この改善については治療計画コンピュータの能力増強を待つ必要がある。また、上咽頭癌については放射線感受性が高いので照射期間中の腫瘍体積の減少が顕著であり、複数回のAdaptiveな再計画実施が肝要と思われたため、JCOG1015の2-step計画法を拡張して、当院独自の3-step法(70Gy/60Gy/40-46Gyの3段階治療計画)を考案し検討中である。 研究成果としては、英文症例報告1編、和文解説・総説1編、英文専門書の分担執筆1編を出版した。その他、国際学会(15th International Congress of Radiation Research)での招待講演1回、日本泌尿器科学会総会並びに日本耳鼻科学会地方部会での講演2回を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
残念なことに、以前まで当院は後進的な放射線治療施設としては旧来の治療機器、システムが稼働しており、IMRTやIGRTを含む現代的な高精度治療を実施出来る環境では無かった。そのため小生の着任以降、高精度放射線治療システムの導入を図るべく活動し、ようやく平成26年度からの機器更新を達成するに至った。平成26年年度中は、臨床使用のためのリニアックと治療計画システムの安定稼働のために既存システムからのデータからの移行、新機種導入に伴うQA/QCの実施に時間を要した。結果として、IMRTの本格稼働が同10月と予定より半年遅くなり、本研究の着手がそれ以降となった。従って、残念ながらデータの蓄積や研究実施の達成度も伴って遅延している。但し、本格稼働後は順調にIMRTの症例数は増えつつある。症例データの集積に伴い研究の実施が可能となったため、順次、治療計画法の実験的な技術的改善に順次取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の達成を推進するべく、さらにIMRTの治療計画の標準化に向けて、最適化計算手法や標的設定法の改善に向けた取り組みを加速して行く。 今後の予定としては、まず頭頸部癌IMRTのSIB法(70Gy/63Gy/56Gy)の治療計画データを活用した実験的な治療計画に関して回転ビーム本数とコリメータ角度を変更し複数回の最適化計算を実施し、標的線量の均一性、リスク臓器の線量低減について比較検討を行う。良好な結果が得られつつあるので、データ数を増して詳細な検討を行い、3arc法(従来の方法にコリメータ方向を90°/270°回転としたarcを加える方法)の有用性に関する結果発表、執筆に取り組みたい。また、従前より取り組んできた上咽頭癌の多施設共同試験の経験を生かし、プロトコール作成過程で修得した標的やリスク臓器輪郭入力法の標準化についての基礎データの取り纏めを図る。この試験に関しては症例集積が終了しており、局所反応についての結果が得られつつあり、治療計画内容や線量分布と局所制御や再発形式等との関連を明らかにしつつ、抽出される問題点やピットフォールを集約した研究推進に繋げたい。
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Causes of Carryover |
自施設での放射線治療計画システムの更新導入に伴い、平成26年年度中は、臨床使用のためのリニアックと治療計画システムの安定稼働のために既存システムからのデータからの移行、新機種導入に伴うQA/QCの実施に時間を要した。IMRTの本格稼働が遅れ、平成26年10月からの開始となった。研究の始動、進捗も遅延してしまっている。それ以降は順調に稼働しており、遅れを取り戻すべく症例集積も進めており、現時点まで通算100症例に達している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究課題の達成を推進すべく、さらにIMRTの標準化に資する様に、最適化計算手法や標的設定法の改善に向けた取り組みをさらに加速する。幸い症例データの蓄積により、治療計画実験も進み始めており、3arc法による標的線量の均一性、リスク臓器の線量低減について比較検討結果を、出版する様に注力する。 また、従前より取り組んできた上咽頭癌の多施設共同試験の経験を生かし、プロトコール作成過程で修得した標的やリスク臓器輪郭入力法の標準化についての基礎データの取り纏めを加速する。この試験に関する局所反応についての結果が得られつつあり、治療計画内容や線量分布と局所制御や再発形式等との関連を検証しつつ、抽出される問題点やピットフォールを集約した次なる研究推進に繋げたい。
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Research Products
(12 results)