2016 Fiscal Year Research-status Report

食道癌放射線治療新規標的としてmicroRNAのInVivoと臨床症例の統合解析

Research Project

Project/Area Number	26461893
Research Institution	Kyushu University
Principal Investigator	平川雅和九州大学, 大学病院, 准教授 (20380454)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	中村和正九州大学, 大学病院, 准教授 (20284507) [Withdrawn] 三森功士九州大学, 大学病院, 教授 (50322748) 寺嶋広太郎九州大学, 大学病院, 助教 (40627676)
Project Period (FY)	2014-04-01 – 2018-03-31
Keywords	食道癌
Outline of Annual Research Achievements	本研究の目的は、食道癌に対する実用可能な放射線化学療法の新規感受性バイオマーカーと治療標的分子の同定することである。本研究では、①放射線耐性および感受性食道癌株化細胞で、放射線感受性関連候補miRのPathwayとその分子機構を明らかにすること、②当院食道癌症例原発巣における放射線感受性関連候補miRに関する統合解析を行うことである。①では、放射線耐性食道癌細胞株TE1と放射線感受性TE9でのmiR-203a発現検定を施行し、放射線抵抗株TE1では、miR-203a低発現、放射線感受性株TE9では、miR-203a高発現を確認した。昨年度は、放射線抵抗株TE1で、miR-203aを強制発現させ、放射線抵抗性→感受性に転換するかの検討するため、コロニー形成法で、放射線感受性検討した。結果として、miR-203aを強制発現株で、コントロール群と比較して、放射線感受性の有意な向上が確認された。次に、放射線感受性株TE9のmiR-203a強制発現させた。miR-203そのものによる足場依存性の増殖抑制効果を認めたが、放射線感受性株TE9においても感受性向上傾向を認めた（有意差なし）。TE9のmiR-203a発現阻害すると、放射線感受性→抵抗性になるか検討のために、様々な実験条件の変更を行ったが、miR-203a発現低下TE9細胞株を樹立不可能であった。その為本年度は、TE1,9細胞株以外のTE4,5,11において、miR-203aを強制発現させ、コロニー形成法で放射線感受性を検討した。結果として、TE4,5では有為な放射線感受性の改善は認めなかったが、TE11では放射線感受性の有意な向上が確認された。また、TE4,5,11において、miR-203aの標的遺伝子であるLASP1の発現の変化をRT-PCRで確認し、発現量の低下傾向を認めた。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 放射線抵抗株TE1,11と放射線感受性株TE9へのmiR-203発現増加により、放射線感受性の向上する結果が得られ、miR-203aのターゲット遺伝子の発現の低下傾向を認めた。しかしながら、発現抑制実験では、発現低下株の樹立のために、実験条件の様々な変更を行ったにもかかわらず、樹立不可能であった。これにより、実験は全体に、計画より遅延している。
Strategy for Future Research Activity	TE1,9,11のmiR-203強制発現による放射線感受性向上の結果は、我々のmiR-203が放射線感受性に関与する候補miRである予測に合致する結果であった。TE1,9での発現抑制実験が不可能であったが、miR-203a inhibitorにより、miR-203aのターゲット遺伝子に発現増加を認めればmiR-203aの抑制系での、放射線感受性の変化に関する実験を進めていく方針である。これらの細胞株で、miR-203が放射線感受性に関与する候補miRであることが確認された場合、当院食道癌症例原発巣における放射線感受性関連候補miRに関する統合解析を行う予定である。
Causes of Carryover	本研究では、現在、In Vitroでの、miR-203発現抑制実験が予定より遅延しており、「miR-203が放射線感受性に関与する候補マイクロRNAである」との、確信度が十分得られていないと判断している。そのため、予定していた実際の食道癌症例での統合解析の実験が、本年度施行できていないため、補助金の使用が予定どおり使用できていない。
Expenditure Plan for Carryover Budget	現在、食道癌細胞株TE1,TE9，TE4、TE5、TE11において、miR-203の発現変化による放射線感受性への影響に関する実験を行っている。これらの細胞株においても「miR-203が放射線感受性に関与する候補マイクロRNAである」との、確信度が十分得られる様に実験を進める。そして、最終目標である当院食道癌症例原発巣における放射線感受性関連候補miRに関する統合解析に向けて、当初計画に回復させるように、研究を進める予定である。助成いただいた補助金についても、まず、In vitroの追加細胞実験に対して、使用させていただき、その後、統合解析の実験に、補助金を効率的に使用させていただく計画を立てている。