2014 Fiscal Year Research-status Report
BNCT及びRI内用療法の生物効果比に関する理論的研究
Project/Area Number |
26461900
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
佐藤 達彦 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (30354707)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊田 博明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30354913)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | BNCT / RI内用療法 / 細胞生存率 / 生物学的効果比 / マイクロドジメトリ / 放射線治療計画 / PHITS / バイスタンダー効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)やRI内用療法などの内部療法が注目を集めている。内部療法では,ガン細胞の内部や近傍から生じる放射線により腫瘍を治療するため,その治療効果は,同じ吸収線量でも外部療法とは異なると予想される。しかし,現在,その違いは定量的に評価されていない。そこで本研究では,細胞核などミクロレベルで見た吸収線量の不均一性が内部療法と外部療法で異なることに着目し,その違いから両療法の生物学的な効果比(RBE)を理論的に決定することを最終目的とする。 平成26年度は,これまでに研究代表者らが開発したミクロレベルで見た吸収線量を指標とする細胞生存率評価モデルDSMK(T.Sato and Y.Furusawa Radiat. Res. 2009)に,細胞核線量の不均一性に起因するバイスタンダー効果と,bcl-2タンパク過剰発現による放射線抵抗性効果を組み込み,新たな細胞生存率評価モデルを構築した。そして,構築したモデルを用いて粒子線治療に対する生物学的線量を評価し,他のモデルと比較検討した。その結果,粒子線治療においては,バイスタンダー効果を考慮しても生物学的線量はほとんど変化しないが,放射線抵抗性を考慮することにより,その生物学的線量は最大で2倍程度となることが示された。平成27年度は,新たに構築したモデルを用いてBNCTやRI内用療法に対する生物学的線量を評価する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,平成26年度に内部照射に対するミクロ線量の確率密度分布計算手法を構築予定であったが,研究協力者らの都合により,平成27年度に予定していたバイスタンダー効果による細胞生存率計算モデルの構築を先に実施した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,内部照射に対するミクロ線量の確率密度分布計算手法を構築するとともに,構築したモデルを治療計画システムへ組み込むための検討を開始する。
|
Causes of Carryover |
当初,BNCT治療計画に直結するモデルを開発してBNCTに関連する国際学会にて発表する予定であったが,研究協力者らの都合によりバイスタンダー効果に関するモデル開発を優先したため,予定していた学会参加を見送った。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度は,既存のPCでデータ処理とモンテカルロ計算の両方を実施したが,モンテカルロ計算中はデータ処理速度が遅くなるなどの問題が生じたので,今年度は,昨年度の繰越金で当初予定していなかったモンテカルロ計算専用の計算機を購入する。
|
Research Products
(2 results)