2014 Fiscal Year Research-status Report
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26461903
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
森下 雄一郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (20425747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河内 徹 千葉県がんセンター(研究所), 放射線治療部 物理室, 技師 (10594393)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 水等価 / 電離箱 / 水吸収線量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、水等価な電離箱を開発することである。これにより、放射線の線質が異なる場合でも同じ感度で電離箱の出力が得られ、ひとつの線質で校正をしておけば、それとは異なる線質であっても、水吸収線量計測ができるようになることを目指している。 今年度は電離箱の試作品を作ることを目標に、平行平板型の電離箱の試作を試みた。電離箱の安定動作に欠かせないのは電離箱の空洞材と電極の密着具合であり、10種類の接着剤を用意して、電極の空洞材への固着を試みた。残念ながら、電極材と空洞材の両方に有効な接着剤はなく、この試作は失敗している。現在別の方式による電極形成をテストしている。 試作と平行して、次の二点を進めた。 1:本設計電離箱の応答を放射線のエネルギーごとに計算し、適切な空洞厚さがあるかを検討した。電子の阻止能比はほとんど放射線のエネルギーに依存しないが、吸収係数比は数MeV以上のエネルギーで無視できない変化を示すため、光子の減弱が無視できる程度に厚みの小さい空洞にする必要があることが分かった。現在はモンテカルロ計算で実際の形状と同じものを仮定したときの応答について開発中である。 2:本研究による電離箱の電流出力は非常に大きくなると予想され、従来の電荷測定法は使えない可能性が高い。通常より電流出力の大きいダイアモンド検出器を使い、コンデンサーを使った従来の電荷蓄積法と直接電流測定法による電荷測定の違いをテストし、直接測定法でも十分な精度で測定できることを確認した。現在パルス線源での直接測定の適応について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中に試作を終えて、実際の放射線で電離箱の出力を観測する予定であったが、電極の接着がうまくいかず試作は遅れぎみである。 大電流を測定するための測定系の整備や、モンテカルロ計算で検出器の線質依存性を明らかにするためのプログラム開発は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在電極の取り付け方を変えて試作に取り掛かリはじめたところである。今年度の早い段階で実証のところまでやって、特許申請を優先しようと考えている。その後電離箱製作の実績のある企業技術者等に助力してもらって更なる開発を進めたいと考えている。試作品はCo-60ガンマ線場で印加電圧特性や、線量率特性を測定する予定であり、最終的にはLinacX線場で水等価性まで確認できればと考えている。これらに平行して、モンテカルロ計算による応答特性についても計算を進める予定である。
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Causes of Carryover |
電離箱の試作を、既成の電離箱を使わずに行っているため費用が圧縮された。既製品が使えなかったのは接着に問題が生じているためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在試作を急いでいるが、どの電極形成方法がもっとも安定しているかはトライアンドエラーを繰り返すほかなく、余剰金はこの試作費として使う予定である。
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