2015 Fiscal Year Research-status Report
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26461903
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
森下 雄一郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 分析計測標準研究部門, 研究員 (20425747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河内 徹 千葉県がんセンター(研究所), 放射線治療部, 技師 (10594393)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 水等価 / 電離箱 / 水吸収線量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、水等価な電離箱を開発することである。これにより、放射線の線質が異なる場合でも同じ感度で電離箱の出力が得られ、ひとつの線質で校正をしておけば、それとは異なる線質であっても、水吸収線量計測ができるようになることを目指している。 前年度に問題であった吸収体への電極の取り付けについては接着剤を用いない別の方式を採用することで吸収体へ電極を取り付けられるようになった。その上でまず平行平板式の電離箱を試作し、放射線を照射した。その結果照射に応じた電流が取り出せることを確認した。 その後、既製品を流用して、指頭型電離箱についても試作し、照射テストを行った。こちらでは照射に応じた電流は得られなかった。 二つの計測結果の違いを調べる過程で、平行平板式の電離箱では信号線のガードがなされておらず、大気中にできた電荷が流れ込んでいることが判明した。流れ込む部分を完全に塞いで、再度照射を行ったところ、平行平板式でも電流が取り出せないことがわかった。 現状では5 mm厚さ程度の吸収体に数100 Vの電圧をかけているが、液体電離箱などでは生成電荷を取り出すためには1000 V/mm以上の電圧が必要とされている。現在電場強度を大幅に上げるため吸収体の幅を狭くした上で、大きな電圧が印加できるように改良を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
電離箱の試作については、平行平板型と指頭型についてでできるようになり、正しく電流を取り出すのに必要な信号の配線構造についてもおおむね理解した。適切な配線にして照射実験をした結果電流が取り出せなかった。これが単に絶縁物である吸収体に電流がなれないためなのか、電荷を取り出すための電場勾配が足りないのかはまだはっきりしないので、今年度はさらに高い電場勾配を掛けられるように改良してテストしてみる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現状では印加できる収集電場は100V/mmが最大であるのに対して、液体電離箱などでは1000V/mm以上の電場を掛けるのが通常となっている。本電離箱でも同程度の強力な電場が必要なのかもしれない。非常に高い電圧は電離箱の信号の引き回し上好ましくはないので、吸収体の厚みを薄くして、数100V程度の電圧でも十分電場が掛かるような電離箱を試作する予定である。
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Causes of Carryover |
電離箱の試作を、既成の電離箱で使わなくなったものを譲り受けて行っていること、および、組み立てなどを独力で行っているため、費用は大幅に圧縮されている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究では大半が電離箱の試作のための部品を加工する工賃に費やされており、余剰金は試作用に使う予定である。
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