2016 Fiscal Year Annual Research Report
Optimal immunosuppressive therapy after living liver transplantation in adult
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26461929
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
尾形 哲 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40444583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江川 裕人 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40293865)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生体肝移植 / 過小グラフト / 免疫モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度の当科での生体および脳死肝移植術は、月1-2例のペースでコンスタントに施行されている。これら肝移植レシピエントの術後肝機能、免疫抑制療法、急性拒絶反応の有無などの臨床データは着実に集積できている。特に、当科独自の取り組みとして、①他施設と比較し、タクロリムス血中濃度を低くコントロールすること、ステロイドを術後早期に中止することを行い、可及的に低用量で管理を行っている。②ABO不適合例だけでなく、近年ハイリスク症例の識別が可能となってきた術前ドナー特異的抗体強陽性例を積極的に肝移植適応症例とし、リツキシマブの術前投与を中心とした術前脱感作療法により、抗体関連拒絶の予防を行っている。前者では、拒絶反応の発症頻度を上昇させることなく、低用量免疫抑制剤で術後腎機能低下およびde novo糖尿病の予防が可能であることが判明した。後者では、これまで術後死亡率が高く抗体関連拒絶の関連が強く示唆されていたドナー特異的抗体強陽性患者に対し、ABO不適合患者と同様の脱感作療法を行うことで、急性期における合併症が予防でき、良好な中長期予後が得られる可能性が判明した。短期予後を改善させることが示された一方、晩期胆管狭窄のため、繰り返す胆管拡張や胆管再吻合を要する患者が認められ、その発症頻度が明らかに術前ドナー特異的抗体陰性患者と比較して高いことが明らかになった。これらの新しい知見は、今年度国内外の学会で発表し、現在論文作成中である。上記の晩期合併症に対する抗体関連反応のメカニズムについては、今後さらなる研究を要すると考えられる。上記治療を行った5名に対し、免疫モニタリングを継続し、術後ドナー特異的抗体を定期的に測定していく予定である。
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