2015 Fiscal Year Research-status Report
外科的侵襲時における脂肪組織とM1/M2マクロファージのクロストーク機構の解明
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26461930
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
松谷 毅 日本医科大学, 医学部, 講師 (50366712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 明久 日本医科大学, 医学部, 助教 (00366741)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | M1/M2マクロファージ / 脂肪組織 / 外科的侵襲 / アディポネクチン / PPAR-γアゴニスト |
Outline of Annual Research Achievements |
外科的侵襲による呼吸・循環,栄養・代謝さらに免疫能の変化を,生体は恒常性を維持するように合目的な防御反応を起こす.時に過大侵襲によって免疫担当細胞から炎症性サイトカインが過剰に産生された場合には,SIRS(systemic inflammatory response syndrome)あるいはCARS(compensatory inflammatory response syndrome)と呼ばれる病態を惹起する.これまで我々は侵襲後の生体防御反応において脂肪組織が重要な役割を担っていると報告してきたが,最近ではmetabolic syndromeにおける脂肪組織へのマクロファージ浸潤とマクロファージにはM1型とM2型の2つのサブグループがあることが判明し,その意義と重要性が認識され研究が進められている.以上から脂肪組織とM1/M2マクロファージのクロストーク機構を考慮した手術侵襲後の合併症・臓器障害の病態解明は,外科学にとって極めて重要である. 平成26年度の研究から,マウスCecum ligation and puncture(CLP)の腹腔内洗浄液で脂肪細胞からのアディポネクチン産生が減弱し, TNF-α,MCP-1の発現が増加し,PPAR-γアゴニスト投与がアディポネクチン産生を亢進し,TNF-α,MCP-1の発現を低下させることがわかった. 平成27年度は,浸潤するマクロファージと脂肪細胞が接触することによって炎症性変化が発現するのか,マクロファージと脂肪細胞が産生する液性因子によって互いに活性化されて炎症性変化が誘導されるのか,を検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CLP後の脂肪組織におけるマクロファージの分布動向に注目し, PPAR-γアゴニスト(ピオグリタゾン;PGZ)の影響を検討した.C57BL/6雄性マウスにPGZを7日間投与後, CLPを施行し,24時間後に生殖器周辺脂肪を採取した.パラフィン包埋切片にて各マクロファージマーカーの免疫組織化学染色並びに各マーカー発現のリアルタイムRT-PCR解析を行った.CLP+Vehicle群においては, Sham群と比較してM1マクロファージ(CD68とCD11b/c陽性細胞)の増加に加え, TUNEL陽性細胞の増加が観られた.一方, PGZ+CLP群ではこれらの細胞数の増加に加え, M2マクロファージ(CD163陽性細胞)数が上昇したが,CD163陽性細胞はTUNEL陰性であった.PGZ+CLP群では, M1マクロファージが発現するiNOS, M2マクロファージが発現するアルギナーゼ, IL-10の各mRNA量はCLP+VehicleおよびSham群と比べて高値を示した.CLPによるマウス敗血症の脂肪組織においてPGZはマクロファージの分布に影響した.PGZは, 総マクロファージ数を増加させると同時に, M1/M2バランスをM2側へシフトさせることで敗血症による過剰な炎症性生体反応を制御している可能性が示唆された. 以上の結果は,仮説を証明する結果であった.よって順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,外科的侵襲後の脂肪組織におけるM1/M2マクロファージのクロストーク機構に変化があるか.さらにPPAR-γアゴニスト投与で,この機構の解明を試みる. マウス大網前駆脂肪細胞3T3-L1とRAW264マクロファージ様細胞株を用いて,①脂肪細胞とマクロファージが接触する(接触法)での共培養,②脂肪細胞とマクロファージが接触しない(非接触法)での共培養,③脂肪細胞とマクロファージの単独での培養上清を交差してさらに培養,この3群で脂肪細胞におけるTNF-α,MCP-1,アディポネクチン等のmRNAの発現,細胞内蛋白質の量,培養上清中の分泌蛋白量をピオグリタゾン処理の有無でも検討する.
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Causes of Carryover |
平成27年度は,全て物品費に使用したが,一部消耗品の値段と一致しなかったため差額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は,外科的侵襲後の脂肪組織におけるM1/M2マクロファージのクロストーク機構の解明をマウス大網前駆脂肪細胞3T3-L1とRAW264マクロファージ様細胞株を用いて試みる.その実験の物品費に使用する予定である.
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