2014 Fiscal Year Research-status Report
抗血管新生療法における新規biomarker検索と分子基盤の解明
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26461938
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
藤井 孝明 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (40507331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂木 晃 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10323362)
堤 荘一 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (30323356)
森田 廣樹 群馬大学, 医学部附属病院, 医員 (70646794)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腫瘍血管新生 / 血管新生因子 / バイオマーカー / 抗腫瘍効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管新生因子であるVEGFに対する、抗モノクロナール抗体であるBevacizumab(Bv)の治療効果予測因子は同定されていない。我々はこれまでPDGF-AA/p70S6KシステムがVEGFの発現を亢進させ、血管新生に寄与していることを明らかにしてきている。Rapamycinはp70S6Kを活性化するmTOR経路の阻害剤であり、腎細胞癌、乳癌など種々の癌で臨床応用されているが、一方で、Rapamycinは血管新生抑制作用を有することが報告されている。まず、乳癌細胞株MCF-7に対するRapamycinの抗腫瘍効果について、VEGFの発現制御に着目して検討を行った。MCF-7の増殖活性はRapamycin投与、またVEGFの中和抗体投与にて抑制された。また、MCF-7のVEGF発現はRapamycin投与により著明に抑制され、Rapamycinの抗腫瘍効果はVEGFの投与により阻害される傾向を認めた。一方、RapamycinによるVEGF発現抑制効果が認められなかった大腸癌細胞株HT29では、Rapamycinによる抗腫瘍効果は認められなかった。以上より、RapamycinはMCF-7のVEGF発現抑制による直接的な作用を介し、抗腫瘍効果に関与している可能性が示唆された(投稿中)。VEGFの発現を強力に制御するPDGF-AA/p70S6KはBv療法の効果予測因子となる可能性があり、さらにTGF-βはPDGF-AA/VEGF経路を制御しており、PDGF-AA、TGF-βがBv療法の新規biomarkerとなり得るか検討中である。また腫瘍進展、リンパ節転移のメカニズムにおけるリンパ節外浸潤、リンパ管浸潤の意義についても検討し報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳癌細胞株、大腸癌細胞株におけるRapamycinはMCF-7のVEGF発現抑制を確認できており、現在投稿中である。また同時並行して手術検体での検討、また抗癌剤(エリブリン)投与による血管新生促進機構の検討も同時並行して進行しており、さらに癌進展、リンパ節転移機構における浸潤の重要性について論文報告しており、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍血管新生、間葉系細胞におけるPDGF-AA/p70S6KによるVEGF、HGF発現亢進システムに対するTGF-βの作用を確認し、腫瘍血管新生におけるTGF-βの役割を検討する。さらにPDGF-AA, TGF-βの発現によるbevacizumabの抗腫瘍効果における感受性の相違を検討する。手術症例(乳癌、大腸癌)にてTGF-β、PDGF-AA、VEGF、HGFなど各種血管新生因子の発現、TGF-βシグナルであるSmadの発現、また微小血管を免疫染色し、TGF-β発現との関連を解析する。VEGFの発現を強力に制御するPDGF-AAはBv療法の効果予測因子となる可能性があり、手術検体を用いてPDGF-AA, TGF-βの発現を免疫組織学的に確認し、Bv療法のbiomarkerとなり得るか検討していく。
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Research Products
(2 results)