2014 Fiscal Year Research-status Report
定量位相顕微鏡を用いた新規CTC(血中循環腫瘍細胞)検出器の開発
Project/Area Number |
26461974
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
川端 俊貴 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (90402289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今野 弘之 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00138033)
平松 良浩 浜松医科大学, 医学部, 助教 (00397390)
菊池 寛利 浜松医科大学, 医学部, 助教 (70397389)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 血中循環腫瘍細胞 / 定量位相顕微鏡 / 癌 / 診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
CTC:Circulating Tumor Cells(血中循環腫瘍細胞)とは、原発腫瘍組織または転移腫瘍組織から遊離し血中へ浸潤した細胞と定義される。固形癌患者の末梢血中に微小量存在して他部位への転移能を有している細胞を含んでいると考えられ、近年注目を浴びている。従来の検出方法はいずれも上皮系細胞表面マーカーを指標に選別しているが、癌細胞は転移の過程において一部の細胞で上皮系表面マーカーが消失することが知られており、これらの手法ではCTCを漏れなく回収することは難しい。一方で末梢血液中の有核細胞はその殆どが白血球であることから、白血球を取り除くことでCTCを効率よく回収できると考えられる。そこで本研究では、定量位相顕微鏡と画像認識システムを組み合わせることで、表面マーカーに依存しない新たなCTCの選別方法を確立することを目的とする。 定量位相顕微鏡は、細胞を染色せずに1nmの分解能で詳細に観察することができる。この顕微鏡を利用し、CTCの候補としてまず大腸癌細胞株DLD-1, HCT116、SW480、膵臓癌細胞株Panc1、肝細胞癌細胞株HepG2の位相像を定量位相顕微鏡で撮影し、得られた画像(位相像)から特徴量を抽出して機械へ学習させた。同時に健常人白血球の位相像も撮影し、特徴量を抽出して機械へ学習させた。これらの学習結果に基づいて、白血球を癌細胞株から高い精度で識別するアルゴリズムを確立することに成功した(AUC=0.98)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
白血球・癌細胞株の位相像を撮影する際はスライドグラス上に細胞を静置させた状態で撮影したが、位相像によって細胞を選別する位相フローサイトメーターを構築するためには流路系での撮影が必要となる。そのためには、細胞を流しながら撮影できるように定量位相顕微鏡の調節が必要となる。具体的には、撮影スピードに合わせて細胞を流すこと、その際に細胞が重ならないように流すこと、撮影する際に焦点を合わせることが必要となる。これらの問題の対応に時間を要し、位相フローサイトメーターを構築するのにやや遅れを生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の問題に対しては、細胞を流すガラス流路を再設計し対応する予定である。位相フローサイトメーターを構築した後、実際に白血球と癌細胞株を分離できるか検証する。その後に、遠隔転移を有する癌患者の血液の有核細胞層を位相フローサイトメーターにかけて白血球を除去し、残った有核細胞をCTCの候補として詳細に検討する予定である。
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Research Products
(1 results)