2015 Fiscal Year Research-status Report
食道胃接合部癌における新規バイオマーカー(Runx3,EZH2)の機能解析
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26461981
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
國崎 真己 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (10533747)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオマーカー / EZH2 |
Outline of Annual Research Achievements |
食道胃接合部癌の症例を含めて2008年8月~2014年12月までに当科で手術を施行した胃癌340症例のうちESD後の症例を除く210症例を対象とし、まずはその背景を検討した。胃癌はheterogenityがあるため単一のマーカーではその予後を説明出来ないとされているため、今回日常診療で使用される炎症性マーカー(GPS,mGPS,PNI,NLR,PLR,PI)及び腫瘍マーカー(CEA,CA19-9)に加えて大腸癌や乳癌等で適応とされている血清中抗p53抗体価を術前保存血清を用いてELISAで測定した。抗p53抗体は早期癌で陽性率が高く、全体での陽性率は16.2%であった。また抗p53抗体とCEAの共陽性症例は予後不良であった(P=0.025) これらの詳細な解析データーは2016年のアメリカ癌学会で報告した。 またこれらを対象にEZH2,RUNX3に加えて他のMethyltransferaseに関しても発現解析を進めている。また同時にヒストンのメチル化についても確認を行う予定である。ただしEZH2の発癌メカニズムはヒストンH3のメチル化だけでは説明がつかない。そのため我々は新たなメチル化候補としてノンヒストン蛋白を考えている。実際にトリチウムを用いたwhole cell lysateによるメチル化アッセイ([methyl-3H]methionine)を行うと多くのEZH2によるメチル化蛋白のバンドが検出される。しかしながらそのバンドを切り出して解析するにはRI持ち出しの問題が生じるためcandidateアプローチを行いメチル化候補の同定を試みているが、いまだ有望な候補が確定出来ていない。新たな癌化のメカニズムとしてメチル化は有望であり、近年メチル化をターゲットとした抗がん剤も開発されてきておりこれらのコンパニオンバイオマーカーにつながる分子の同定を目指していきたいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
食道胃接合部癌に限定すると症例蓄積が進まないため、まずは対象を胃癌全体として症例の蓄積及び選択、臨床病理学的解析及び発現解析は前年より確実に進んでいるが、当初予定していたメカニズム解析の一つであるメチル化のアッセイ系が非常に手間と時間を要するためその候補を選択する時点で有望なものが未だに同定できず、機能解析まで到達出来ずにいる またバイオマーカーとして血清中の測定法を開発するため、現在確立されている抗p53抗体のキットの測定を行い、データーが得られたが、同じように安定して測定出来る抗体の選定や条件設定が確定出来ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
・機能解析に関しては他の施設の有用なアッセイ法を参考に進めていく必要があると考え、今回AACRで学んできたペプチドを用いた質量分析などの手法も検討していく。 ・最終年度でもあり、現時点で得られてデーターを元に可能な範囲で論文作成を進めていく
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Causes of Carryover |
症例の絞り込みや解析に時間を要したため、最も重要な実験である蛋白の精製やメチル化の実験など最も経費のかかるアッセイ系が最終年度にずれ込んだため必要な経費を次年度使用額としました。 また最終的な成果を公表していくための学会発表や論文作成にも必要と考え次年度使用額としました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
発現解析の為の抗体の追加購入及び入手可能な癌遺伝子蛋白,癌抑制遺伝子蛋白を用いて、EZH2を基質としたメチル化のアッセイを行い、メチル化の数値の高いものに関して再度SDS-PAGEを行いBASイメージシステム(BA-TR2040,FUJI)にてバンドを確認しメチル化候補を同定する。同定された遺伝子に関しては様々な長さのプラスミドを作成し、pGEX6P-3vectorを用いたGSTfusion蛋白を作成しそのメチル化部位を同定する。同定された部位の配列を元にメチル化抗体を作成し機能解析を進めていく。同時にペプチドでの質量解析を通してメチル化のconfirmを行っていく。 最終年度であるため得られたデーターを元に国際学会発表及び論文作成を進める。 新たな研究につながるデーター構築を行う
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