2016 Fiscal Year Research-status Report
食道胃接合部癌における新規バイオマーカー(Runx3,EZH2)の機能解析
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26461981
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
國崎 真己 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (10533747)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | EZH2 / 胃癌 / 抗p53抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
胃癌組織におけるEZH2の発現を調べるため胃癌切除検体の病理切片を使用し、癌細胞における発現レベルを評価した。168症例を用いてEZH2の発現レベルを三段階に評価(0=陽性細胞≦10%,1=陽性細胞>10%,≦50%,2=陽性細胞>50%)し発現レベルと臨床病理学的因子に関して検討を行った。腫瘍深達度(p=0.043),リンパ管侵襲(p=0.017),S-p53Ab(p=0.049)との相関が認められた。今回の検討においては傾向は認められたものの、EZH2の発現と予後との相関は示されなかった(p=0.174).しかしながら胃癌切除症例におけるEZH2の発現は93.2%(強陽性:72.9%)であり胃癌の発癌進展に関与する可能性は高く、その発癌進展に関するメカニズムを癌抑制遺伝子であるRUNX3の不活化と合わせて解析中である。また今回癌患者血清中には比較的早期から腫瘍抗原に対するIgG抗体が誘導されることからEZH2抗原の精製目的にEZH2蛋白の発現を行い、可溶性試験を行った後にキレートカラムの精製を行い、ELISAキットの作成を行い、抗体陽性率を検討した。同時に組織中におけるEZH2の発現と血清中の抗p53抗体の陽性率との相関が認められていたため、胃癌組織における抗p53抗体の陽性率を検討した。抗p53抗体の測定はanti-p53 detection kit (MESACUP anti-p53 Test; Medical and Biological Laboratories (MBL)を用いて行い、陽性率がStageIで10.3%と従来の分泌型腫瘍マーカー(CEA 8.7%, CA19-9 2.4%)と比較して有用と考えられた。EZH2の測定キットはうまく感度が得られなかったため、anti-p53 detection kitを参考に調整中である。胃癌のheterogenityにおけるEZH2の関与に関しても検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
EZH2の発現や胃癌組織における発がんのメカニズムに関しては検討が進んでいるものの、新規バイオマーカーとしてのELISAキットの開発が条件設定や臨床検体収集の遅れ等から遅れている。また既存のELISAキットを用いての測定を追加したためその解析を優先したことが遅れる誘因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている研究を着実に行っていき、再評価再検討を行い信頼性を高めるとともに得られた結果をいち早く報告していく。また発癌進展及びheterogenityに関する解析は難しいものの細胞レベルで得られた結果を動物実験にまで進められるよう優先的に行っていく。臨床の場に還元するため新規バイオマーカーとしてのELISAキットの開発を既存のキットを開発した実績のある研究者などに相談し改善点を見つけていく。また新たなバイオマーカー研究も並行して行う。
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Causes of Carryover |
当初予定したサンプル収集が時間を要し、研究計画にずれを生じた。また当初予定していたELISAキットの作成がうまくいかず、既存のキットを用いた実験を追加したため研究計画に遅れを生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在得られた結果をいち早く臨床の現場に届けるため論文作成を行う。予定している実験の専門家にコンサルトを行い改善計画を立ていち早く実験を行う。その為に必要な抗体や機材の購入に使用する。
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