2015 Fiscal Year Research-status Report
メタボロミクスを活用した食道癌特異的代謝機構の解明と新しいバイオマーカーの探索
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26461998
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小澤 壯治 東海大学, 医学部, 教授 (10169287)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオマーカー / メタボロミクス / 食道癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
検討対象を加えて、食道癌患者計35例の手術時摘出標本から採取した腫瘍組織と非腫瘍組織を-80℃で凍結保存し、組織を前処理し、キャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析器(CE-TOFMS)を用いてメタボローム測定を行った。 患者背景はT1:1例、T2:7例、T3:23例、T4:4例、 N0:8例、N1:5例、N2:16例、N3:5例、N4:1例、 StageI:0例, StageII:8例, StageIII:22例, SrageIVa:5例であり、17例(49%)に術前補助化学療法(CDDP + 5-FU)が行われた。235種類の代謝産物が解析対象となり、詳細な検討の結果、絶対定量が可能な110種類の代謝産物を抽出した。 Principle component analysis (PCA)では腫瘍組織と非腫瘍組織で明らかに代謝プロフィールの違いが認められ、さらに腫瘍組織ではheterogenousな代謝プロフィールを示した。Lactateレベルは腫瘍組織では非腫瘍組織に比べて高く、一方citrateレベルは腫瘍組織では非腫瘍組織に比べて低かった。これらは腫瘍組織内では、低酸素な微小環境が存在し、Warburg effectと考えられた。Gln以外のアミノ酸レベルは腫瘍組織では非腫瘍組織に比べて高く、これはGlutaminolysisとautophagic protein degradation が腫瘍組織で亢進しているためと考えられた。Malic acid とcitric acidはpT3-4腫瘍ではpT1-2腫瘍よりも濃度が低く、pT3-4腫瘍におけるTCA cycleのdown regulationを意味していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
235種類の代謝産物が解析対象となり、詳細な検討の結果、絶対定量が可能な110種類の代謝産物を抽出した。代謝産物の測定と詳細なデータ解析に時間を要しているが、下記の結果が得られた。 Principle component analysis (PCA)では腫瘍組織と非腫瘍組織で明らかに代謝プロフィールの違いが認められ、さらに腫瘍組織ではheterogenousな代謝プロフィールを示した。Lactateレベルは腫瘍組織では非腫瘍組織に比べて高く、一方citrateレベルは腫瘍組織では非腫瘍組織に比べて低かった。Gln以外のアミノ酸レベルは腫瘍組織では非腫瘍組織に比べて高かった。Malic acid とcitric acidはpT3-4腫瘍ではpT1-2腫瘍よりも濃度が低かった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は臨床検体の測定組織を増やすとともに、臨床腫瘍学的意義のある物質に焦点を絞って、臨床検体のさらなる測定を進める予定である。また、組織に加えて尿検体の測定および解析を進めており、組織の解析結果との関連性の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
臨床検体の測定数の増加と追加検体の測定・解析を行うため、検体数の増加に伴い解析費用の増額が想定されたため、消耗品などの他の費用項目の執行を控え、次年度へ持ち越しとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加で採取した検体組織の測定、また他の項目の測定および解析のための委託費用に充てる。また、研究成果発表のための英文校正代や英文誌投稿料にも使用予定である。
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Research Products
(2 results)