2015 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子医薬と分子標的薬剤によるp53経路活性化に基づく消化器癌に対する治療法開発
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26462000
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
田川 雅敏 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ, 部長 (20171572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 英昭 東邦大学, 医学部, 教授 (20292691)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 食道がん / p53経路 / p21分子 / CP-31398 / 細胞障害活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
消化器固形癌は日本人での頻度が高く、進行症例や化学療法無効症例ではbest supportive careに移行することになり、依然として予後不良である。近年各種分子標的薬による臨床研究が進行しているが、当該疾患の遺伝子異常は複雑であるため、治療効果のある標的経路の同定は容易ではない。一方、食道がんではp53遺伝子異常が約半数の症例で見られることから、同遺伝子を発現するアデノウイルスベクター(Ad-p53)、正常型p53遺伝子の症例では、内因性p53分子の発現上昇をきたすE1B55kDa分子欠損ベクター(Ad-delE1B)によって、細胞傷害活性が誘導されていた。そこで、低分子化合物によって、p53経路の活性化を惹起して細胞傷害活性を検討した。このために、幾つかの経路を阻害することによってp53分子の安定化を図るNutlin-3a, PRIMA-1, CP-31398, RITAおよびHSP90阻害剤を使用して、p53遺伝子型が異なる9種類のヒト食道がん細胞について、その細胞傷害活性を検討した。その結果、上記の薬剤の殺細胞効果はp53の遺伝子型によらなかったが、CP-31398だけがp53遺伝子型によらずp21分子の発現を誘導していた。このことは、p53経路が活性化したことを意味しており、興味深いことに、薬剤処理によってp53分子のリン酸化はほとんど誘導されていなかった。したがって本結果は、CP-31398がシャペロン効果を発揮し、変異型p53分子を野生型に変換させたことを示唆している。薬剤によって変異型p53であっても、これを修正することが可能であれば、DNA傷害を引き起こす抗がん剤等との併用効果が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標とした各種低分子化合物による、抗腫瘍効果を検討することができた。さらに、FAKキナーゼ阻害剤、低分子G蛋白阻害剤も当該細胞傷害活性も検討したが、これらの活性はp53遺伝子型に依存していなかった。また、上記Ad-delE1BとNutlin-3aとの併用効果についても検討し、その結果をCalcuSynで解析したが、相乗効果が見られなかった。また、増殖性アデノウイルスによる殺細胞効果を検討し、E1領域遺伝子の転写活性化能との相関を検討した。増殖性アデノウイルスには、ヒト遺伝子(midkine, surviving, COX-2)の転写調節領域を組み込んであり、これらの領域によってE1分子の発現が制御される。そこで、標的細胞による当該転写調節の転写活性化能と、当該ウイルスの殺細胞効果の関係を検討したが、有意な相関性はなかった。したがって、当初計画した研究計画はおおよそ検討できている。
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Strategy for Future Research Activity |
CP-31398が変異型p53を野生型に変換できるかどうかを、両者を区別できる抗p53抗体を使用して検討する。また、分子シャペロンが関与しているのであれば、同阻害効果を有するHSP90阻害剤を使用して、CP-31398によるp21誘導が惹起されないかどうかを検討する。さらに、CP-31398を含めて、平成27年度に検討したp53分子の分解阻害剤と、Ad-p53あるいはAd-delE1Bとの併用効果について、CalcuSynを使用して検討する。これらに関して9種類のヒト食道がん細胞を用いて実施するが、p53経路の活性化に伴うp53分子のリン酸化等については、あらかじめシスプラチンを用いて各細胞別に検討しておく。また、殺細胞効果の解析の結果、相乗効果が見られる場合には、その機構の解析をウエスタンブロット法によって行い、各種阻害剤を用いてその経路の関与をさらに検証する。また、必要に応じてヌードマウスを用いた系ではあるが、動物実験によりin vivo効果の有無についても検討する。
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Causes of Carryover |
各種低分子化合物の細胞障害活性の検討は、9種類のヒト食道がん細胞を対象に、かつ複数回実施しているため、その細胞死の機構解析がやや遅延している。ウエスタンブロット法で解析できているのは、少数の化合物だけである。本来p53の遺伝子型だけではなく、その下流の検討によってp53経路自体が正常であるかどうかも検討しなくてはならないが、その解析が不足している。細胞傷害活性に関しては検討すべき項目は終了したが、CP-31398の結果は意外であったため、その結果の再現性に時間がかかっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては、主に遺伝子医薬と低分子化合物の併用効果について、集中的に検討する。このために、低分子化合物をさらに購入する必要がある。細胞死の検討として、アポトーシスやオートファジー経路の関与の有無を検討するが、併用効果の機構を解析するために当該薬剤あるいはウイルス処理した細胞を用いて、当該経路の各種分子の発現レベルや、リン酸化等の修飾を検討する。したがって、細胞培養関係の物品、各種蛋白質発現のために必要な抗体等の一般生化学試薬等の物品購入に使用する。また、動物実験を実施するためのヌードマウスの購入を行う。
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[Journal Article] Clinical significance of serum autoantibodies against Ras-like GTPases, RalA, in patients with esophageal squamous cell carcinoma.2016
Author(s)
Nanami, T., Shimada, H., Yajima, S., Oshima, Y., Matsushita, K., Nomura, F., Nagata, M., Tagawa, M., Otsuka, S., Kuwajima, A. and Kaneko, H
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Journal Title
Esophagus
Volume: 13
Pages: 167-172
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] NY-ESO-1 autoantibody as a tumor-specific biomarker for esophageal cancer: screening in 1969 patients with various cancers.2016
Author(s)
Oshima, Y., Shimada, H., Yajima, S., Nanami, T., Matsushita, K., Nomura, F., Kainuma, O., Takiguchi, N., Soda, H., Ueda, K., Iizasa, T., Yamamoto, N., Yamamoto, H., Nagata, M., Yokoi, S., Tagawa, M., Ohtsuka, S., Kuwajima, A., Kaneko, H.
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Journal Title
J. Gastroenterol.
Volume: 51
Pages: 30-34
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Cytotoxic effects of replication-competent adenoviruses on human esophageal carcinoma are enhanced by forced p53 expression.2015
Author(s)
Yang, S., Kawamura, K., Okamoto, S., Yamauchi, S., Shingyoji, M., Sekine, I., Kobayashi, H., Tada, Y., Tatsumi, K., Hiroshima, K., Shimada, H. and Tagawa, M.
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Journal Title
BMC Cancer
Volume: 15
Pages: 464
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Heat shock protein 90 inhibitors augment endogenous p53 in p53 wild-type tumors but suppress Ad-mediated over-expressed exogenous p53 levels.2015
Author(s)
Masatoshi Tagawa, Shinya Okamoto, Takao Morinaga, Taka-Aki Kozono, Shuji Kubo, Masato Shingyoji, Ikuo Sekine, Yuji Tada, Koichiro Tatsumi, Hideaki Shimada, Kenzo Hiroshima
Organizer
21th annual meeting of Japan Society of Gene Therapy
Place of Presentation
大阪市
Year and Date
2015-07-24 – 2015-07-26
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[Presentation] Cytotoxicity by Adenovirus Replications is Associated with DNA Damages and the Activated P53 Pathways and is Dependent on Reactive Oxygen Species.2015
Author(s)
Masatoshi Tagawa, Kiyoko Kawamura, Shinya Okamoto, Yuanyuan Jiang, Zhihan Li, Takao Morinaga, Shuji Kubo, Masato Shingyoji, Ikuo Sekine, Yuji Tada, Koichiro Tatsumi, Hideaki Shimada, Kenzo Hiroshima
Organizer
18th annual meeting of American Society of Gene and Cell Therapy
Place of Presentation
New Orleans, USA
Year and Date
2015-05-13 – 2015-05-16
Int'l Joint Research