2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26462009
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
倉地 清隆 浜松医科大学, 医学部, 助教 (20397384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今野 弘之 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00138033)
山本 真義 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (70397420)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 発癌 / 低酸素 / Sirtuin |
Outline of Annual Research Achievements |
Colitis-associated cancer(CAC)は,炎症性腸疾患(IBD)長期罹患症例における最も重要な予後規定因子であり,診断以降の発癌予防が極めて重要である.しかしCACの発癌機序は通常大腸癌と比べて研究が進んでいない.CAC発癌過程において低酸素誘導因子HIF1aの活性化が最も重要な鍵となっているが,われわれはその転写活性を負に制御するヒストン脱アセチル化酵素Sirtuinに注目し研究を行っている.本研究ではCAC培養細胞,CAC動物モデル,および臨床検体を用いて,SirtuinのCAC発癌における役割を明らかにし,新たな発癌予防戦略の構築を目的としている. 平成26年度の研究実績としては,まず臨床検体を用いてCAC症例の癌部,非癌部,および対象として通常発癌症例の癌部,非癌部のsirtuin1~7の発現解析を免疫組織化学染色を用いて行ったところ,Sirtuin1および7の発現がCAC症例において有意に抑制されていることを示した.さらにCAC症例の癌部では,通常発癌に比べHIF1aの核染色が有意に増強しており,CAC粘膜ではHIF1aが活性化されていることが示唆された.現在培養細胞を用いて低酸素+炎症惹起状態でのSirtuin1および7の発現抑制によるHIF1aの活性化を解析中である.さらにC57BL/6マウスにazoxymethane (AOM)を腹腔内投与.その後DSS含有水5日間反復投与を行うことによりCACマウスモデルを作成した.組織学的に発癌が確認されたため,今後このCACマウスモデルを用いて,糖代謝,脂肪酸代謝と低酸素,発癌との関わりを明らかにしていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大腸癌細胞株を用いた細胞実験により,Sirtuinのタンパク発現レベルの解析,およびSirtuinの標的タンパク質であるp53, HIF1a, βcatenin, NFkB, CPT1a など主要因子のアセチル化解析がやや遅れている.その理由としては,ウェスタンブロットにおけるアセチル化抗体の特異性が悪く,データの確実性の担保がとれていない.より特異性の高い抗体に変更して現在解析中である.
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Strategy for Future Research Activity |
免疫組織化学染色によりSirtuin1および7の抑制がCAC粘膜におけるHIF1aの活性化に関わっていることが示唆されている.今後はこの2者に絞り,CACにおけるSirtuinの発現抑制とHIF1aの活性化,さらに糖代謝,脂質代謝への影響を培養細胞を用いて解析を行う予定である.さらに,SirtuinのActivatorであるレスベラトロールの投与によるCAC発癌抑制実験を計画中である.
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Research Products
(3 results)