2016 Fiscal Year Research-status Report
新規癌抑制遺伝子候補SVS-1の癌抑制のメカニズムの解明と治療への応用
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26462022
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
隈元 謙介 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (60457778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 俊夫 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (20012693)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Susd2 / 大腸癌 / 癌抑制遺伝子 / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、大腸癌組織および培養大腸癌細胞株においては正常大腸粘膜細胞に比べてSVS1/Susd2遺伝子の発現は著しく低下している。そこでSusd2遺伝子をin vitroにおいて誘導発現あるいは恒常的発現をさせると、癌細胞の特徴である高い増殖能、運動能、浸潤能が抑制された。そこで28年度はその抑制メカニズムを追究した。1)PCR Array法による運動能に関わる84遺伝子発現解析の結果、Susd2遺伝子の発現によって、細胞外マトリックス(ECM)からのシグナル伝達系に関わる遺伝子、細胞内骨格系に関わる遺伝子など数種類の遺伝子の発現低下が観察され、細胞の運動能・浸潤能の低下をよく説明している。2)細胞周期を制御するRetinoblastoma (Rb1)遺伝子の発現を亢進し、細胞をG1期に停止させる事がわかった。3)癌の再発・転移を司る大腸癌の癌幹細胞(Cancer Stem Cell, CSC)の増殖を選択的に抑制する事、などが判明した。これは人類最大の敵の一つ癌の死亡率を減らし、癌の治癒をもたらす「抗CSC薬」の創薬につながる可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前項9の「研究実績の概要」に記したように、新規な癌抑制遺伝子を同定すると同時に、癌の転移・癌の治療抵抗性による癌死の最大の要因である「癌幹細胞」を特異的に殺傷する新な遺伝子を発見し、「癌幹細胞治療薬」の創薬につながる可能性を示した事は重要な進歩である。
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Strategy for Future Research Activity |
Susd2/SUSD2遺伝子が癌細胞の種々の特徴的な形質を抑制し、癌幹細胞をも死滅させる事が判明した。今後は同遺伝子がどのようなメカニズムで癌幹細胞の選択的な抑制をするのかをDNA Microarray, IPA (Ingenuity Pathway Analysis)などを用いて検証して行く。更に、同遺伝子あるいは遺伝子の機能domainを用いた癌、特に癌幹細胞を標的とした遺伝子治療法を模索して行く。
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Causes of Carryover |
おおむね予算通り使用している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度もSusd2/SUSD2遺伝子の作用機構の解析と癌治療への応用の研究を継続するために、研究機材の購入、in vivoの抗腫瘍性試験のためのマウスの購入、DNA Microarray/ IPA解析などの外注費用などに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)