2015 Fiscal Year Research-status Report
肝がんのインドシアニン・グリーン蛍光機序解明と近赤外光線力学的療法の開発
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26462039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 順一 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50328118)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Indocyanine green / 近赤外光 / 光線力学療法 / 肝細胞癌 / レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】Indocyanine green(ICG)は胆道排泄される光感受性物質で、肝細胞癌では排泄が障害されICGが特異的に集積する。miceヒト肝癌細胞皮下移植モデルに対してICGを用いた光線力学療法(PDT)を検証した。 【方法】In vivo:ヒト肝癌細胞株HuH-7をBALB/c miceに皮下移植後ICGを静注した。ICG投与24h後に波長823nmの近赤外光 (NIR) を160mW, 3minの条件で照射した。NIR照射24h後に腫瘍を組織切片化し、酸化ストレスの有無を評価した。NIR照射後day3,6,9に腫瘍サイズを計測し、PDT効果を評価した。In vitro:HuH-7 cell培地を作成しICGの濃度を、0, 0.005, 0.05mg/mlと変化させNIRを照射しMTT assayを用いて細胞生存率を評価した。NIR照射は、保温、保冷シート上の2条件下で行った。 【結果】In vivo:ICG蛍光観察では移植されたHuH-7腫瘍に特異的に蛍光が確認された。ICG+NIR+ではICG+NIR-と比較して、有意に腫瘍増殖抑制効果が認められた。一方、HuH-7腫瘍のNIR照射部位は約50℃の温度上昇が認められた。またNIR照射後の腫瘍組織から酸化ストレスが検出され、TUNEL染色ではapoptosisが認められた。In vitro:ICG添加培地へのNIR照射により、ICGの濃度、NIR照射回数依存性に腫瘍細胞生存率の低下を認めた。NIR照射を保温上で行うと細胞死を認めるが、保冷上では細胞死は弱まった。 【結論】ヒト肝癌細胞に対するPDT(ICG-NIR)は、抗腫瘍効果が認められた。これは、熱産生と、酸化ストレス産生によるapoptosis誘導によって引き起こされていると考えられた。抗腫瘍効果は、NIR照射回数や、ICG濃度により高まると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的の達成度について、次年度は比較的期待した結果が得られ、順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の4月に新規近赤外レーザー光装置試作品が完成した。前回の試作品と比べてICG最大吸光波長に完全に一致した近赤外波長と3倍以上の高出力を実現した。本装置により、光線力学療法の効果が最大化されると期待され、新実験を開始している。
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Causes of Carryover |
新規近赤外光レーザー装置の開発が遅れ、2016年4月に完成し5月より稼働可能となっため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新規近赤外光レーザー装置が2016年4月に完成し5月より稼働可能となったため、装置稼働に伴って発生する費用として使用予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Inhibition of human hepatoma-cell-line tumor growth by near infrared photodynamic therapy with indocyanine green.2015
Author(s)
Yoshihiro Inagaki, Junichi Kaneko, Chikara Shirata, Takashi Kokudo, Satoshi Yamamoto, Nobuhisa Akamatsu, Junichi Arita, Wei Tang, Yoshihiro Sakamoto, Kiyoshi Hasegawa, Norihiro Kokudo
Organizer
第15回東京大学生命科学シンポジウム
Place of Presentation
武田先端知ビル 武田ホール
Year and Date
2015-06-27 – 2015-06-27
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