2014 Fiscal Year Research-status Report
膵癌に対する術前化学放射線療法の効果と適切な手術時期に関する前向き臨床研究
Project/Area Number |
26462068
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
新地 洋之 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60284874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
又木 雄弘 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (10444902)
前村 公成 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30398292)
夏越 祥次 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70237577)
蔵原 弘 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70464469)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膵癌 / 術前治療 / 化学放射線療法 / 手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌は悪性度が高く,根治手術がなされても術後早期に高率に血行性再発が認められ、その予後はきわめて不良である。本研究の目的は,適切な個別化治療の確立であり,次の2 点を目指す。① 血中遊離癌細胞の検索や診断的腹腔鏡検査を用いて,潜在性転移や微小転移のない『真の局所進行型膵癌』を選別できるかを明らかにする。② 選別された『真の局所進行型膵癌』症例を対象として,経口抗がん剤TS-1 を用いた術前化学放射線療法および手術療法を行い,術後遠隔転移再発の抑制効果や生存延長効果に寄与するか否かを明らかする。平成26年度より症例を集積しており,予後及び再発形式などについて厳重に経過観察中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では,以下の2つが研究の柱である。① 血中遊離癌細胞の検索と診断的腹腔鏡検査の組み合わせにより,潜在性遠隔転移のない『真の局所進行膵癌』を選別しうるか,治療選択の指針として使用可能か否か検証する。②『真の局所進行膵癌』を対象とした術前TS-1 併用化学放射線療法と手術治療による単群の前向き臨床試験を行い,安全性,手術時期の妥当性,転移抑制効果や生存成績向上効果などの有効性について,明らかにする。① 血中遊離癌細胞の検索については,当科外来,入院膵癌患者全症例を対象として,治療前の血中遊離癌細胞の検出をRT-PCR 法により行い,検出結果を集積中である。また,臨床試験登録例に対して腹腔鏡検査による微小遠隔転移検索を行っており,症例を集積中である。②『真の局所進行膵癌』を対象とした術前TS-1 併用化学放射線療法と手術治療による単群の前向き臨床試験について、順調に症例を集積中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 潜在性・微小遠隔転移検索に対する研究 ①血中遊離癌細胞による検討:前年度の血中遊離癌細胞検索を行った当科外来,入院膵癌患者全症例について,検出結果と予後および血行性転移再発(とくに治療後早期肝転移再発)との関連について解析を行い,有効なバイオマーカーとして使用可能か検討する。本臨床試験登録症例に対しては登録が終了次第,同様に各種治療効果および血行性再発との関連を検討する。②本臨床試験登録例における治療前膵癌生検標本および切除標本による検討:登録が終了次第,治療前膵癌生検標本および膵癌切除標本(35 例)を用いて術前化学放射線療法および化学療法の病理組織学的効果判定を行う。また,免疫組織学的検討を行い,膵癌の主要4 遺伝子(KRAS, p16, p53, smad4)などの遺伝子発現の有無と予後および血行性転移再発との関連を検討し,『真の局所進行膵癌』を選別しうる有効なバイオマーカの同定を試みる。③ 診断的腹腔鏡検査による微小遠隔転移検索:登録が終了次第,血中遊離癌細胞検出結果との相同性について解析を行い,血中遊離癌細胞の検索と診断的腹腔鏡検査の組み合わせにより『真の局所進行膵癌』を選別しうるか,治療選択の指針として使用可能か否か検証する。 2. 術前TS-1 併用化学放射線療法と手術治療による臨床試験の解析 35 例の目標症例数を平成27年度で終了する予定である。登録が終了次第,解析を行う。評価項目である安全性,切除率,根治切除率,奏効率,病理学的効果判定,および再発部位・再発時期を解析する。全生存期間,2 年生存率,2 年再発率は研究実施期間が終了した後の平成28 年3月頃に明らかになる予定である。平成27 年度,これらの結果を国内外学会にて発表予定である。
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Causes of Carryover |
経費の主要な用途は消耗品であり,内訳としては各種解析の実施に伴う部品類及び試薬類の購入費用が主たる経費であるが,平成26年度は検体集積,保管のみとし,消耗品への支出がわずかであったことより,支出額が低額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
人件費ついて:本研究のメインはLightCycler を用いたRT-PCR を行うことである。一検体あたり、処理を行うのに4-5 時間の労力が必要である。そこで、検体処理および検体の整理に従事する研究補助者に対して,平成27度に人件費 (\700 × 8h × 30 日 × 2 人 = \336,000) を計上した。さらに,データ入力に従事する研究補助者1名に対しても人件費を計上する予定である。 消耗品費について:経費の主要な用途は消耗品であり,内訳としては各種解析の実施に伴う部品類及び試薬類の購入費用が主たる経費である。
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[Journal Article] 教室にて術前化学療法を行った切除可能膵癌の検討2014
Author(s)
又木 雄弘, 新地 洋之, 前村 公成, 蔵原 弘, 川崎 洋太, 出先 亮介, 上野 真一, 迫田 雅彦, 飯野 聡, 高尾 尊身, 夏越 祥次
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Journal Title
胆膵の病態生理
Volume: 30
Pages: 25,29
Peer Reviewed
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[Journal Article] 傍大動脈リンパ節転移を伴うcStage IVb膵癌に対してS-1+gemcitabine療法により組織学的CRが得られた1例2014
Author(s)
蔵原 弘, 前村 公成, 又木 雄弘, 迫田 雅彦, 飯野 聡, 樋渡 清司, 南 幸次, 石神 純也, 上野 真一, 新地 洋之, 夏越 祥次
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Journal Title
膵臓
Volume: 29
Pages: 898,904
Peer Reviewed
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[Presentation] Oral S-1 with concurrent radiotherapy versus S-1 alone in patients with locally unresectable pancreatic cancer.2014
Author(s)
Shinchi H, Takao S, Maemura K, Mataki Y, Kurahara H, Hiwatashi K, Ino S, Sakoda M, Ueno S, Natsugoe S
Organizer
American Pancreatic Association (45th Anniversary meeting)
Place of Presentation
Hawaii, USA
Year and Date
2014-11-08 – 2014-11-08
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