A new concept sutureless mitral valve implantable by catheter

2017 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 26462080
• Research Institution: Hirosaki University
• Principal Investigator: 皆川 正仁 弘前大学, 医学研究科, 講師 (50374830)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2018-03-31
• Keywords: 僧帽弁 / カテーテル / 人工弁

Outline of Annual Research Achievements

カテーテルを使用した大動脈弁置換術は定型的な手術として確立され、人工心肺を使用することなく、小さな皮膚切開で大動脈弁置換術が可能となった。一方、僧帽弁位への植え込みに関しては、需要が多いにもかかわらず、カテーテル植込み式の人工弁は無い。これは、僧帽弁周囲の構造的な違いによるものであり、人工弁の支持性や固定性が得られないためである。動物実験レベルでは、弁下組織に引っかかるようなフック構造を有する人工弁が報告されているが、構造的な問題があるために臨床では普及していない。
本研究では、ステント構造を工夫することでカテーテル植込みや縫合が不要な僧帽弁位人工弁の開発を行うことを目的とした。僧帽弁位に固定できる、密着性および自己拡張性を有するステント構造の開発が本研究の重要課題であり、形状記憶合金であるナイチノール鋼線とZ-stentを使ってステント骨格の試作を繰り返した。当初は、僧帽弁や腱索に引っかかるようなフック構造を試作したが、組織を損傷しやすい構造であるために、フックの形状を根本的に変更した。
最終的に、らせん状のリング構造をステントに組み入れ、これを僧帽弁の交連部から回転するように弁輪を1周するように挿入して、弁尖を左心房側と左心室側から挟み込むように留置する構造とした。さらに、ステントの自己拡張力によって強い線維組織である弁輪に密着させることが出来た。ブタ摘出心を用いて植込み実験を行い、弁輪への密着性および固定性は満足できる結果であった。
今後の改良点として、軽微な弁周囲逆流を防ぐために左心房側への傘状の構造物を付加することが必要と考えられたが、本研究で試作したステント構造は若干の構造的工夫を加えることでカテーテル内への装填も可能と考えられた。あるいは、縫合の不要な短時間の心停止時間で植込みが可能なsutureless valveとしても発展が可能と考えられた。