2015 Fiscal Year Research-status Report
抗凝固療法不要な、自己組織による内皮化人工血管の作成、臨床応用
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26462087
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小沼 武司 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (40307559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新保 秀人 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70179076)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 再生医療 / 人工血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「自己組織で内皮化された人工血管,再生小口径動脈の臨床応用」を最終目的に,吸収性ポリマーと人工血管(PTFE)を組み合わせ,自己細胞とバイオリアクターを用いて完全内皮化された再生細小動脈グラフとおよび静脈グラフトの作成を目的としている.内皮化された人工血管は,感染性,抗凝固療法血管開存性の点で人工血管に比して理想的であり,人工血管としての耐久性も期待できる.自己骨髄細胞および吸収性ポリマーを共培養した重合体を生体移植することで心臓大静脈の再生が臨床応用されているが,同方法を用いてバイオリアクター内で生体移植可能な再生血管グラフと作成を行い,生体移植後の機能,組織学的な経時的評価を行う. 生分解性ポリマーを応用した組織工学による小口径動脈グラフトは,岩崎らがハーバード大学にてポリマーと血管細胞の共培養複合体から,三層構造を持った直径6mmの動脈グラフトの作成に成功しているが,国内外を通じてその臨床応用の報告例はなく、また遠隔期での血管の瘤化は懸念事項である。また、「自己骨髄細胞と吸収性ポリマーを用いた再生医工学による肺動脈弁の開発と臨床応用」(2003年日本胸部外科学会研究発表) において、ビーグル犬の内頚動脈を置換した約5mmの生体吸収性ポリマー(自己骨髄細胞もしくは自己大腿静脈細胞播種後の共培養重合体同)は、生体内でのポリマーの吸収過程で人工血管の壁強度が低下し、血管の瘤化破裂した。これは自己細胞による組織再生より早期にポリマーが消失したことによる。安全性の求められる臨床医療の現場の実態をふまえ、小口径PTFEグラフトの内側に生体吸収性ポリマーを密着、接着するハイブリッド血管を作成し、血管瘤化や破裂の危険の全くない臨床応用可能な人工再生血管を作成したい。生体吸収性ポリマーからなる内層血管が自己組織に置き換わるとき、内皮化したPTFEグラフトが完成すると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
吸収性ポリマーと人工血管(PTFE)の組み合わせについて,人工血管は現在医療器具として使用されているゴアテックス人工血管を使用している.吸収性ポリマー(生体吸収性)との共合体の作成は外部委託(グンゼ)していますが,吸収性ポリマーの薄いコーティング層を,細径人工血管内に作成するのが技術的に困難で,難航している.
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Strategy for Future Research Activity |
当該研究は,細径人工血管での血管内皮化を目標としているが,人工血管の内皮化は大口径でも可能であることから,大口径人工血管での実験も検討しています.ただし,大口径ではさらに大型動物実験を要します.
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Causes of Carryover |
研究過程の遅延により,培養および移植気管を年次度に行うこととしたため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度に行う培養および移植過程の必要経費にあてる予定である.
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