2015 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病,慢性透析が移植前静脈グラフトに与える影響の解析
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26462096
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
内田 恒 旭川医科大学, 医学部, その他 (60301991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 幸裕 旭川医科大学, 医学部, 講師 (80540583)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 下肢閉塞性動脈硬化症 / 静脈グラフト内膜肥厚 / 術前静脈グラフト評価 / 静脈グラフトの質 / 糖尿病 / 人工透析 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】糖尿病患者の急増により糖尿病性腎症の患者も増加し,当教室のASO血行再建術患者の過半数が糖尿病合併慢性透析症例となっている.自家静脈グラフト(VG)移植後の内膜肥厚発生は静脈硬化や炎症など移植前VGの病理変性と関係することが知られているが,これに糖尿病,慢性透析がどのような影響をあたえるかは明らかではない.【目的】糖尿病および慢性透析が術前VGにどのような影響をあたえるか検討する.本年度は血行再建術を施行された患者を非糖尿病非透析患者,非糖尿病透析患者,糖尿病非透析患者,糖尿病透析患者の4群に分け,移植前VGの病理組織学的変化を後ろ向き研究で検討する.【結果】旭川医科大学病院で2002年1月から2012年3月までに下肢末梢動脈バイパス術を施行した症例124例を解析した.VGの質に関する評価は術中にVGの口径と拡張性によりGood,Fair,Poorの3段階に分類した.非糖尿病非透析患者群は8例でGood例4例(50.0%),Fair例3例(37.5%),Poor例1例(12.5%),非糖尿病透析患者群は4例でGood例4例(100%),Fair例0例(0%),Poor例0例(0%),非糖尿病透析患者群は40例でGood例23例(57.5%),Fair例14例(35.0%),Poor例3例(7.5%),糖尿病透析患者群は70例でGood例36例(51.4%),Fair例27例(38.6%),Poor例7例(10.0%)であった.症例数に偏りはあるものの,これよりVGの術中評価においては糖尿病および人工透析の影響はほとんど認められなかった.現在病理組織学的所見と関係があるか解析中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に経過しているが,多変量解析を進めていく.
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Strategy for Future Research Activity |
今後静脈グラフトに与える糖尿病,人工透析のリスクを更に詳細に評価していく.ただし現在のところ当初の仮説に反して糖尿病および人工透析の静脈グラフトへ与える影響は軽微である可能性が高くなっている.この場合は当然前向きでの評価や関連遺伝子の抽出は困難となり,この結果を持って終了としたい.
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