2016 Fiscal Year Research-status Report
リンパ浮腫患者に対するリンパ管再生促進因子付加型血管柄付きリンパ節移植の研究
Project/Area Number |
26462115
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
佐武 利彦 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (60271318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安村 和則 横浜市立大学, 医学研究科, 共同研究員 (40351621)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リンパ浮腫 / 血管柄付きリンパ節移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、リンパ浮腫患者に対してリンパ管再生促進因子を付加した血管柄付きリンパ節移植を行い、その治療効果を確認することである。これまでの研究成果からラットの下肢リンパ浮腫モデルの作成は困難であったため、平成28年度も引き続きSDラットを用いて上肢の慢性リンパ浮腫モデルの作成と,血管柄付きリンパ節移植モデルの作成を行っている。 【SDラットの上肢慢性リンパ浮腫モデルの作成】 まず全身麻酔後に、右上腕近位部に全周性の切開を置いた後に、手部からパテントブルーにて造影を行い上肢のリンパ管を造影した。上腕外側にて皮下リンパ管が同定されるので、そのリンパ管を広範囲に切除した後に、近位部と遠位部は焼却した。次に右腋窩部のリンパ節郭清を行った。上腕の皮膚皮下組織は広範囲の欠損としたままにしておき、肩の部分まで皮膚切開線を移動して縫合した。上腕部分の皮膚軟部組織は大きな欠損創としたまま保存的に創の上皮化が完了するのを待った。上肢は急性リンパ浮腫となるが約2~4週間後に上皮化が得られると、比較的早期に急性リンパ浮腫は改善の徴候を示す。そこで上皮化が完了した後に、右腋窩部に選択的に30Gの放射線照射を行い、慢性リンパ浮腫モデルを作成した。 【血管柄付きリンパ節移植モデルの作成】 左腋窩部のリンパ節、上腹壁動脈を含めた逆行性有茎皮弁作成して、1週間遷延させた後に、再びこの皮弁を挙上して慢性リンパ浮腫の存在する右腋窩部に、血管柄付きリンパ節移植を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
(理由) 平成26年度は慢性リンパ浮腫モデルの作成はSDラットの下肢で作成を行っていたが、作成は困難であった。急性リンパ浮腫はできるものの、ほとんどがすぐに浮腫が改善して、下肢の慢性リンパ浮腫モデルの作成が極めて難しかった。また下肢の血管柄付きリンパ節移植モデル(浅上下腹壁動静脈を含む体外茎チューブ)はラットによる自食、破綻が多く実験の継続が困難であった。そこで平成27~28年度はSDラットの上肢慢性リンパ浮腫モデルを作成している。照射により上肢の慢性リンパ浮腫もできるが、実験動物への侵襲がつよいためか、急死するラットも多かった。次に、腋窩リンパ節を含めた血管柄付き有茎皮弁モデルを新たに開発しているが、複数回の手術を行うためか、評価可能な結果が得られるラットはごくわずかである。
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Strategy for Future Research Activity |
SDラットの上肢リンパ浮腫モデル、血管柄付きリンパ節移植モデルを用いてリンパ還流路の再生状況を、ICGやパテントブルーで評価 しつつ、実験動物のリンパ動態、病理組織学的な評価を行う予定にしている。また、可能ならVEGF-C、ADRCsをリンパ管再生促進因子として局 所投与した場合のリンパ管再生状況を、リンパ動態、および病理組織像で観察したい。
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Causes of Carryover |
ラットによるリンパ節移植モデルを作成することが予想外に困難であり,研究全体が遅れている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ラットによるリンパ節移植モデル作成のアプローチが予定と大幅に違っているため,その開発のために使用する実験機器の維持費等に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)