2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of therapeutic strategy against invasive thymoma and thymic cancer targeting TrkB/BDNF signaling
Project/Area Number |
26462146
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 勝也 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60585743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片野 光男 九州大学, 医学研究院, 教授 (10145203) [Withdrawn]
大西 秀哉 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30553276)
中野 賢二 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 教授 (00315061)
小田 義直 九州大学, 医学研究院, 教授 (70291515)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 胸腺癌 / TrkB / BDNF / 胸腺癌増殖能 / 腫瘍形成能 / 診断マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
胸腺腫、胸腺癌におけるTrkB/BDNFシグナル経路の生物学的役割を再現性があるか、詳細に検証を行った。手術切除標本を用いた免疫組織染色での解析におけるTrkBの発現では、胸腺腫では48例中わずか1例のみが陽性であったのに対し、胸腺癌では5例すべてで陽性であった。胸腺癌は症例数が少なく、また通常の染色では診断が困難なことも少なくない。本結果によりTrkBが胸腺癌の診断マーカーになることが示唆された。 胸腺癌細胞株(Ty-82)を用いた検討では、BDNF添加により増殖は有意に亢進し、TrkBチロシンキナーゼ阻害剤k252a添加によってBDNFで誘導された増殖は有意に低下した。BDNF siRNAを導入して内因性BDNFを抑制すると、細胞増殖は有意に抑制された。また、TrkB siRNAで受容体発現を抑制すると、BDNFを添加しても、増殖亢進は認められなかった。これら結果より、胸腺癌細胞Ty-82は、autocrineおよびparacrineの系でTrkB/BDNFシグナル経路を活性化していることが示唆された。 また一方、免疫不全マウスにヒト胸腺癌細胞株を異種移植するモデルでは、TrkB siRNA、あるいはBDNF siRNAを導入した細胞では、腫瘍形成能が有意に抑制されることが分かった。これら結果より、TrkB/BDNFシグナル経路は、胸腺癌の有用な診断マーカーになり得るだけでなく、TrkB/BDNFシグナル経路阻害により、増殖能、腫瘍形成能を抑制できる可能性があり、いまだ治療法のオプションが少ない胸腺癌の新しい治療標的となる可能性がある。この結果を現在、論文に作成中である。
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