2014 Fiscal Year Research-status Report
悪性胸膜中皮腫に対するゾレドロン酸によるオートファジー誘導薬物療法の開発
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26462148
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
朝倉 啓介 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (90383786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 光智 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10276272)
大塚 崇 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40306717)
涌井 昌俊 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90240465)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 悪性胸膜中皮腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
アスベスト暴露を原因として発症する悪性胸膜中皮腫は、本邦では2020~30年に患者数がピークを迎えると推定されている。しかし、治療抵抗性の悪性腫瘍であり、2年生存率は20~30%と非常に予後不良である。また現在までに確立された化学療法はペメトレキセート+シスプラチンのみで(生存期間中央値12か月)、治療成績の向上には従来とは全く異なる薬物療法が必要である。本研究の目的は、悪性胸膜中皮腫に対するゾレドロン酸の抗腫瘍効果とその機序を明らかにし、臨床応用することである。 平成26年度は細胞実験を中心に、ゾレドロン酸の抗腫瘍効果を検討した。 【ゾレドロン酸の殺細胞効果】ヒト悪性胸膜中皮腫細胞株ACC-MESO-1を用いて、ゾレドロン酸の殺細胞効果を検討した。96ウェルマイクロプレートに翌日80%コンフルエントになるようにACC-MESO-1細胞を撒き、翌日からゾレドロン酸20~100μMを投与した。48時間後にMTTを加え、さらにホルマザリンに対応する570nm吸光度を測定し、cell viabilityを評価した。ゾレドロン酸20~100μMの投与により、ACC-MESO-1細胞のcell viablilityは10~40%低下した。 【ゾレドロン酸の細胞遊走抑制効果】60mmディッシュ上に、翌日80%コンフルエントになるようにACC-MESO-1細胞を撒き、翌日ディッシュの中央に線を引き左半分の細胞をスクレイパーで除去した。そして、ゾレドロン酸20~100μMを投与して、48時間後に線より左側へ郵送した細胞数を顕微鏡下に計測した。その結果、ゾレドロン酸20~100μMの48時間投与により、ACC-MESO-1細胞の遊走能は10~40%低下した。 以上より、ゾレドロン酸はin vitroにおいてACC-MESO-1細胞のviabilityおよび遊走能を低下させることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vitroでの抗腫瘍効果を確認できたが、その作用機序に関してはまだ検討を行えていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
ゾレドロン酸の悪性胸膜中皮腫に対するin vitroでの抗腫瘍効果については、予想された通りの結果が得られている。今後はその作用機序について検討を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
試薬類の購入を、実験の進捗状況から次年度に延期したものがあったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
タンパク実験関係の消耗品の購入に当てる予定である。
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