2015 Fiscal Year Research-status Report
くも膜下出血後の脳血管攣縮に対する予防薬・治療薬の可能性
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26462156
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
諸 真人 信州大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (90648651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 貴弘 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (80533322)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳血管攣縮 / β-アドレナリン受容体 / 血管拡張 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,くも膜下出血後の脳血管攣縮に対する治療薬として,エンドセリンA受容体アンタゴニストであるクラゾセンタンが期待され開発されていたが,臨床試験の結果有効性が検証できず開発中止となり,この領域で開発されている薬剤は開発初期段階の数化合物のみとなった。そこで,平滑筋弛緩作用をもつβ-アドレナリン受容体アゴニストの予防・治療薬としての可能性について検討を実施した。 本年度は,昨年度の継続として雄性NZWウサギより摘出した脳底動脈からリング標本を作製してオルガンバス内に懸垂し,KCl の添加による収縮に対する各種β-アドレナリン受容体アゴニストの影響について評価した。その結果,選択的β1-アドレナリン受容体アゴニストのドブタミン塩酸塩で用量依存的にKClによる収縮を弛緩させた。一方,選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストのプロカテロール塩酸塩及びβ3-アドレナリン受容体アゴニストのCL316243では,弛緩作用はほとんど認められず,ウサギ脳底動脈の拡張にはβ1-アドレナリン受容体が主に関与していることが示唆された。 さらに,動物を用いた脳血管攣縮モデルでの評価を実施するに当たり,ウサギ,イヌ及びヒト脳底動脈におけるβ1,β2及びβ3-アドレナリン受容体mRNAの発現量についてreal-time PCRを用いて検討した結果,ウサギ,イヌ,ヒトともにβ1及β2-アドレナリン受容体mRNAの発現が認められた。一方,β3-アドレナリン受容体mRNAの発現はほとんど認められなかった。以上の結果から,イヌあるいはウサギの脳血管攣縮モデルを用いたβ-アドレナリン受容体アゴニストの評価は,ヒトでの評価に反映できるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ウサギ脳血管攣縮モデルの作製及びモデルの妥当性評価に時間がかかったため,他の動物種でのモデル検討が若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ウサギ脳血管攣縮モデルでは,脳底動脈が細く造影が不鮮明のため薬剤の効果についての評価に課題がでてきたため,ウサギより大型のイヌを中心に脳血管攣縮モデルの作製を検討し,β-アドレナリン受容体アゴニストの脳血管攣縮に対する治療・予防効果の可能性について評価する。
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Causes of Carryover |
平成27年度に実施予定であった外部委託研究機関でのウサギを用いた検討試験が,基礎評価の検討において評価困難であることが判明し年度内に実施できなかったため,未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度繰越金を含む平成28年度の研究費は物品費(動物費,物品等),旅費及び実験外部委託費に使用する予定である。
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