2014 Fiscal Year Research-status Report
スフィンゴシン1リン酸による血液脳関門(BBB)機能制御の解明
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26462167
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中川 慎介 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (10404211)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 血液脳関門 / スフィンゴシン1リン酸 / スフィンゴキナーゼ / 虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管・免疫系で重要な役割を担う、脂質メディエーターのスフィンゴシン1リン酸(S1P)が、血液脳関門(Blood-Brain Barrier, BBB)機能調節の一因となりうるか検証した。S1Pは、スフィンゴキナーゼによりスフィンゴシンから生成され、細胞外に分泌される。S1Pはその受容体であるS1P/Edg受容体(S1P受容体、S1P1~S1P5、G蛋白質共役型受容体)を介して、生理作用を示す。そこで、S1PのBBBタイトジャンクション機能(バリアー機能)への影響を検討するために、内皮細胞の単層培養系を作製し、S1P受容体のアゴニスト(FTY 720, SEW2871)、スフィンゴシンキナーゼの阻害剤(SKI-II)の影響を検討した。S1Pアゴニスト(FTY (100 nM), SEW (1μM)) により、BBBのバリアー機能低下が観察された。SEWはS1P1のアゴニストであり、BBBのバリアー機能低下にはS1P1受容体が関与すると考えられた。SKI-II(10μM)では、バリアー機能の低下が観察された。SKI-IIの投与により、細胞内にスフィンゴシンが蓄積して細胞障害が起こったものと考えられるが、更なる検討が必要である。一方、虚血下(病態時)でのスフィンゴシンキナーゼの役割検討も行ったところ、SKI-IIの投与により、虚血障害が軽減されることを確認した。このことは正常時および虚血時におけるS1PシグナルまたはS1P細胞内動態が異なる可能性を示している。本年度の研究により、S1PシグナルがBBBの生理的および病態時において、BBB機能調節因子として働いていることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
S1PのBBBタイトジャンクション機能(バリアー機能)への影響を検討した。更に、虚血下(病態時)でのスフィンゴシンキナーゼの役割の検討も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
S1P受容体には5種類のサブタイプが知られており、BBBのバリアー機能低下にどの受容体が関与するか検討する。 SKI-IIが生理的および病態時で、BBBバリアー機能に対して異なる反応を示したため、その作用機序を検討する。
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Causes of Carryover |
概ね計画通りに使用したが、動物の使用数が予想よりも少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越使用額が小額のため、当初の計画通り使用する。
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