2016 Fiscal Year Research-status Report
慢性硬膜下血腫被膜の自然退縮におけるapoptosisの役割
Project/Area Number |
26462174
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
大須賀 浩二 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40378013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 泰男 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (10273228)
高安 正和 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60216794)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 慢性硬膜下血腫 / apoptosis |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、高齢者の軽微な頭部外傷後に発生する慢性硬膜下血腫の術後において、被膜の自然退縮の治癒に至るメカニズムを解明するため本研究を続行してきた。 術中に採取された慢性硬膜下血腫被膜を用いてWestern blotをもちいてapoptosisと関連が示唆されているCaspase signaling pathway, Autophagy signaling pathwayやNF-kB signalingに関与している蛋白の発現に関して検討を加えた。 まず、Caspase signaling pathwayでは、Fas, FADD, TADD, RIP, DEF45, Caspase-3, 7, 8, 9ならびにPARPの発現が確認できた。免疫組織染色では、 PARP, Caspase-3, Cleaved Caspase-3はfibroblastや血管内皮において発現が確認できた。 一方、Autophagyにおいては、Beclin, Atg3, 7, 12, 13ならびにLC3A/Bなどの蛋白の発現がWestern blotにて確認でき、免疫組織染色では、Beclin, Atg12, LC3A/Bはfibroblastならびに血管内皮において発現が認められた。 NF-kB signalingに関しては、血管内皮においてNF-kBの発現がみとめられ、被膜の増大に深く関与している事が判明した。 このように慢性硬膜下血腫の被膜においては、増大に関与するシグナル伝達系と自然退縮に関与するシグナル伝達系のお互いのバランスによって調整されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績において記載させていただいたように、apoptosisとの深い関連があるCaspase signaling pathwayならびにAutophagy signaling pathwayでの蛋白の発現をWestern blotならびに免疫組織染色にて確認でき、Caspase signaling pathwayに関しては現在投稿論文がreviseにて戻ってきています。 また、研究実績の概要では、記載できませんでしたが、慢性硬膜下血腫被膜の増大における抑制機序として、soluble IL-6 receptorならびにsoluble gp130が慢性硬膜下血腫内容液中に高濃度発現し、IL-6からのJAK/STATシグナル伝達系を抑制していることや、SOCS3ならびにPIAS3がfibroblastにも発現し被膜の増大を抑制していることを論文報告しました(in press)。 今後も引き続き検索範囲を広げ、さらに深く検討を加えていきたいと思っています。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、BCL-2などのapoptosis関連因子の発現に関して、Western blotならびに免疫組織染色にて追加実験の予定です。 また、術中ならびに術翌日に採取された慢性硬膜下血腫内容液をもちいて、質量分析器にて新たに産生された蛋白を探索し、血腫被膜の再発ならびに退縮への関与についても検討する予定です。 血管内皮ならびにfibroblastの培養細胞をもちいて、慢性硬膜下血腫内容液を添加することによる新たなシグナル伝達系の活性化の有無に関しても検討していく予定です。
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Causes of Carryover |
今までに検討を加えてきたCaspase, AutophagyならびにNF-kBなどのシグナル伝達系に関しては、結果が出る可能性が極めて高い抗体を使用し、必要最小限の購入に心がけてきました。 まだ、BCL familyシグナル伝達系に関しては施行しておらず、それらの抗体や試薬など購入のために次年度の使用額が生じてしまいました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今までに得られた有意な結果が得られたシグナル伝達系に関しては、それらの近傍のシグナル伝達系に関しても関与の有無などできるだけ網羅的に検討を行っていく予定で、それに伴う抗体や試薬の購入に使用を予定しています。 また、質量分析器における試薬や調整液などにも使用していく予定です。
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Research Products
(13 results)