2015 Fiscal Year Research-status Report
グリオーマにおける上皮間葉転換の機序解明とマイクロRNAによる制御
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26462178
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
川瀧 智之 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (20303406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 正夫 山梨大学, 総合研究部, 教授 (90345041)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 上皮間葉転換 / グリオーマ / 転写因子 / 免疫染色 / マウス頭蓋内モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性グリオーマにおいて上皮間葉転換により細胞が間葉系に形質転換している仮説に基づき、間葉系の形質発現に関与している転写因子であるZEB-1, ZEB-2に着目して検討をおこなった。 1.ヒト膠芽腫の細胞株U87において、ZEB-1, ZEB-2をShRNAの手法によりダブルノックダウン細胞を樹立した。2.ZEB-1,ZEB-2ダブルノックダウン細胞では、増殖能には、有意差を認めなかった。3.この細胞において、transmigration assayによる浸潤能は、この転写因子をノックダウンすることにより抑制され、ダブルノックダウンによる相乗効果も認められた。4.この細胞をヌードマウスの頭蓋内に移植した。(各n=5)有意差はないものの、ダブルノックダウン細胞群で、生存期間が長い傾向を認めた。5.ヒトグリオーマ摘出標本における免疫染色を施行し、ZEB-1, ZEB-2の発現とWHO grade との相関を検討した。悪性群でZEB-1, ZEB-2の発現が高い傾向を認めた。以上より、上皮間葉転換の転写因子であるZEB-1, ZEB-2は、浸潤能に関与して悪性グリオーマの進展に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
悪性グリオーマにおける上皮間葉転換を制御する転写因子が、グリオーマ細胞で高発現し、さらに組織学的悪性度と相関していることが明らかになった。細胞を使用した浸潤能の実験においても、これらの転写因子をノックダウンすることで浸潤能が抑制された。 頭蓋内移植における動物実験と再発グリオーマにおける免疫染色における結果が揃えば、論文投稿が可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ShRNAによるZEB1とZEB2のノックダウン細胞の樹立に成功している。次にこれらの細胞を使用して網羅的にmicroRNAの発現を調べ、主に上皮間葉転換に関連していると考えられているmicroRANの増減をコントロール細胞と比較し解析したい。これにより、標的microRNAが同定されれば、これをヒトグリオーマの血清、髄液及び組織においても検討し、バイオマーカーとしてのmicroRNAについて検討していきたい。
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Causes of Carryover |
マイクロRNAの検討についての必要性があるため。 また、転写因子の確実なノックダウンの目的で、クリスパーによる方法を検討中である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
クルスパーによるノックダウン細胞の樹立のため、クローニングを行う。
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