2015 Fiscal Year Research-status Report
中性子捕捉療法のホウ素担体としての標的アデノウイルスベクターの確立
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26462183
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
濱 聖司 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 研究員 (40397980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 正治 広島大学, 平和科学研究センター, 名誉教授 (50099090)
切畑 光統 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 教授 (60128767)
栗栖 薫 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (70201473)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中性子捕捉療法 / アデノウイルスベクター / 悪性グリオーマ / ホウ素化合物 / 電子顕微鏡 / アデノウイルスライブラリー / ガンマ線 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性グリオーマに対する細胞選択的な放射線治療法であるホウ素中性子捕捉療法の治療効果を向上させるためには、悪性グリオーマ細胞に、選択的に高濃度のホウ素取り込ませることが鍵となる。そのために、ホウ素化合物を結合させたアデノウイルスベクターを悪性グリオーマ培養細胞に感染させることで、培養細胞内にホウ素を取り込ませる手法を開発中である。今までの研究では、金コロイド粒子をアデノウイルスベクター表面に結合させ、銀増感で細胞内に金コロイドが取り込まれていることが確認された。このことから、表面に化合物を結合させても、アデノウイルスベクターは感染して細胞内に取り込まれ、一緒に化合物を細胞内に導入させることができることが判明した。しかし、現在、取得可能なホウ素化合物を使って同様の実験を行っても、細胞内に十分量のホウ素化合物を導入することは困難であった。そこで、新たなホウ素化合物を合成し、アデノウイルスベクター表面に結合させ、悪性グリオーマ培養細胞に感染させる研究を行っている。さらに、アデノウイルスベクターの感染選択性を向上させるために、アデノライブラリーシステムを確立させることを目指し、脳腫瘍細胞の培養実験系の整備も進め、当教室内で初代継代から実験データの取得までが行える様になっている。今後、更に研究を進めていく予定である。また、中性子捕捉療法には、中性子照射時にガンマ線の混入による放射線障害も問題となる。そこで、ガンマ線照射による生物学的な影響についても研究を行っている。その中で、現在は細胞周期調節因子と細胞死に関連した各種因子についても検討を続け、Survivinとp16に関連した研究成果については学術論文で発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)ホウ素化合物の合成に手間取っているため。 (2)脳神経外科実験室の移転の準備、移転後の組換え遺伝子使用実験の施設承認・実験計画書・大臣確認実験申請書の再提出と再承認のために実験を中止する必要があったため。 (3)アデノウイルスライブラリーを行うために、培養細胞の初代継代技術の確立を行っていたため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)大阪府立大学と共同で進めているホウ素化合物の作成を加速させて、アデノウイルスベクターに結合させる実験を行う。 (2)大臣確認実験の申請書と学内倫理審査を行い、アデノウイルスライブラリーシステムを開始する。 (3)ガンマ線による放射線の影響を、臨床と研究から検討する。
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Causes of Carryover |
ホウ素化合物の合成に手間取っていることと、脳神経外科実験室の移転の準備、移転後の組換え遺伝子使用実験の施設承認・実験計画書・大臣確認実験申請書の再提出に時間がかかった為に、一時、研究は中断した。そのため、次年度使用額が生じてしまった。しかし、現時点で研究室の移転は終了し、組換え遺伝子使用実験施設の承認も得て、実験計画書も大臣確認が必要なアデノウイルスライブラリーを用いた研究以外は認可されていることから、脳神経外科研究室においてアデノウイルスベクターを用いた研究をP2実験室で行う準備は整った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ホウ素化合物をアデノウイルスベクターの表面に結合し、悪性グリオーマ培養細胞に感染させ、培養細胞内に導入されたホウ素化合物を電子顕微鏡を使った原子レベルでの同定を試みる。また、ガンマ線を用いた放射線障害の生物学的な影響を、臨床検体と実験レベルで検討していく。そして、大臣確認が承認された後にアデノウイルスライブラリーを開始する。次年度使用額は以上の実験に使用する予定である。
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