2014 Fiscal Year Research-status Report
次世代シークエンサーを利用した膠芽腫の治療抵抗性と再発に関連する遺伝子変異の探索
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26462186
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
秀 拓一郎 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40421820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 敬史 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (90381011)
中村 英夫 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (30359963)
矢野 茂敏 熊本大学, 生命科学研究部, 准教授 (60332871)
倉津 純一 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (20145296)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膠芽腫 / ディープシークエンス / 治療抵抗性 / 再発 / 新規治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、次世代シークエンサーによる遺伝子解析が行われるようになり、これまで見過ごされてきた遺伝子変異も発見できるようになった。その中で、グリオーマ研究においてIDH1変異は大変重要な発見であった。 全ゲノムシークエンスは膨大なデータが取れるが、多くのサンプル数を解析するには未だ高価であり、また得られる情報量が多すぎて、その解釈が困難な場合がある。そこで、比較的安価に多くの症例を解析するために、癌パネルを利用して、癌関連48遺伝子の体細胞変異ホットスポット領域(212領域)に絞ったディープシークエンスを行い、膠芽腫症例の予後、治療反応性、再発などをレトロスペクティブに解析して、遺伝子変異のマーカーとしての応用を考えている。 ディープシークエンスによって、長期生存例と短期生存例の比較、同一症例で初発時と再発時、再再発時の比較、さらに培養樹立した膠芽腫幹細胞の解析を追加することによって、これまで膠芽腫ではあまり知られていない治療抵抗性や再発に必須の遺伝子変異を発見することが本研究の目的である。 本研究では、再発例ではFFPE(パラフィン包埋切片)を用いた悪性度の高い腫瘍組織からの正確なDNA精製を行い、シークエンスを行っている。 現在、長期生存例(20サンプル)と短期生存例(18サンプル)の比較を行いさらに、同一症例で初発時と再発・再々発時(9例:20サンプル)のシークエンスは終了しており、現在データを解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
48症例のFFPE組織サンプルからDNAを精製し、特に長期生存例と短期生存例、同一症例での初発時と再発時の比較、膠芽腫幹細胞とFFPE切片の比較を追加することで、治療抵抗性・再発に関係する遺伝子変異の探索を行う ①膠芽腫組織の採取 膠芽腫摘出組織からFFPE切片、凍結組織、さらに膠芽腫幹細胞培養を行う。②DNAの精製 各膠芽腫症例のFFPE切片のHE染色やMIB-1染色で細胞密度が高く分裂能が高い領域を選び数枚のFFPE切片からその領域を採取しDNAの精製を行う。初発時/再発時セット:初発時と再発時のFFPE切片からDNAを精製。FFPE切片/膠芽腫幹細胞セット:樹立した膠芽腫幹細胞と同一症例のFFPE切片から精製 ③DNAのクオリティーチェック ④シークエンシング 次世代シークエンサー イルミナ MiSeq, パネル名 イルミナ TruSeq癌パネル(EGFR, RAS, TP53, IDH1, AKT, APC, MET, SMO, VHL, etc. 計48遺伝子)⑤データの統合と解析 予後予測、治療反応性、合併症予測に関係する遺伝子変異を検討。 初年度の解析サンプル数は、当初の予定数以上であり、長期生存例と短期生存例の比較(合計 38症例)、同一症例における初発時、再発時、再再発時のサンプル(9症例 20サンプル)で、ディープシークエンスを行うことができた。膠芽腫幹細胞とFFPE切片の比較は次年度に行う予定である。研究は予定通り進行している
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Strategy for Future Research Activity |
① 同一症例での膠芽腫幹細胞とFFPE切片の遺伝子変異の比較検討。これまで、ヒト膠芽腫組織から細胞株を継続して樹立してきているので、これらの細胞と摘出組織のFFPEよりDNAを精製し検討する ② 予後、治療抵抗性、再発に関係する遺伝子変異の検討 有意差を認めるマーカーの候補遺伝子変異が発見された場合 その遺伝子変異部位に絞った形で症例数を増やしてシークエンスを行い、結果の検証を行う。また遺伝子変異が治療標的となるか検討を開始する。有意差を認めるマーカー候補遺伝子変異が発見できなかった場合さらに症例数を増やし121部位のディープシークエンス解析を継続する。それでも有意な遺伝子変異がない場合はシークエンスする遺伝子セットを変更する。症例数を増やし有意差が検証された場合には、多施設共同のprospective studyへ展開する ③新規遺伝子変異の膠芽腫における機能解析を行う
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Causes of Carryover |
平成26年度は同一症例の膠芽腫幹細胞とその摘出組織のFFPEサンプルから精製したDNAの比較は行うことができなかった。 これらを用いた実験については次年度に行う必要があり、次年度へ繰り越した
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の予算と前年度の繰り越しを利用し、同一症例の膠芽腫幹細胞とその摘出組織のFFPEサンプルから精製したDNAのディープシークエンスの比較検討を行う。 前年度の繰り越しと本年度の予算を使用する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] The anti-tumor effect of fibrin glue containing temozolomide against malignant glioma2014
Author(s)
Anai, S., Hide T.,* Takezaki, T., Kuroda J., Shinojima N., Makino K., Nakamura H., Yano S., Kuratsu J.
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Journal Title
Cancer Sci.
Volume: 105
Pages: 583-591
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Hypoxia suppresses cylindromatosis (CYLD) expression to promote inflammation in glioblastoma: possible link to acquired resistance to anti-VEGF therapy.2014
Author(s)
Guo J, Shinriki S, Su Y, Nakamura T, Hayashi M, Tsuda Y, Murakami Y, Tasaki M, Hide T, Takezaki T, Kuratsu JI, Yamashita S, Ueda M, Li JD, Ando Y, Jono H
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Journal Title
Oncotarget
Volume: 5
Pages: 6353-6364
Peer Reviewed
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