2014 Fiscal Year Research-status Report
慢性脳低灌流における血液脳関門物質輸送能とアミロイドβ蓄積: 脳機能障害との関連
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26462204
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 弘樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20448054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑澤 順 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70198745)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | PET / 脳血流 / 脳酸素代謝 / 慢性低灌流 / アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は慢性低灌流モデル動物(ラット)の作成を行った。モデル動物の作成に当たっては雄性Wistarラットを用いた。当初用いた動物は日本SLC社より供給されるラットであり、7週齢から10週齢程度の週齢において、両側総頚動脈結紮を行った。この場合、術後の致死率が80から90%と高く、実験系としては非常に困難な状況であった。動物のcolonyを日本Charles River社のものに変えたところ、致死率は大幅に低下し、10から20%となった。このcolonyに対して10週齢にて手術を行った両側総頚動脈結紮モデルの系を当研究に用いることとした。このモデルおよび両側総頚動脈露出のみのsham手術行ったラットを用いてO-15 PET撮像実験を行ったところ、脳血流の分布は大脳では小脳に比して相対的に低下を認めた。しかしながら脳血流の絶対値は個体間でのばらつきが非常に大きく、定量値としては不安定な数値であった。また、PET撮像中の死亡率が高く、人工呼吸器の設定やガスの供給量が、生理的条件と異なっている可能性があったため、Cold実験によって条件の再検討を行った。その結果、添加酸素の量の不足や呼吸回数、一回換気量の不足などが明らかになったため、これらの条件の見直しを行った。また、PETカウントが異常に高値となる傾向が認められたため、PET撮像の設定や条件を精査したところ、気管内挿管された動物の気道より投与されたRIガスが、PETガントリ内に漏出している可能性が示唆された。漏出RIガスを吸引しながらPET撮像を行うことによって、PETカウントは安定した。このように慢性低灌流モデルのPETを用いた評価法の条件設定や改善によって安定した脳循環代謝計測が可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性低灌流モデルの作成、O-15PETによる脳血流、脳酸素代謝の定量解析、認知機能評価をおこなった。モデルの安定化、O-15 PETによる評価の安定化においては当初の予想に反して、様々な障害が生じ、問題解決に時間を要している。しかし、段階的に脳循環代謝の評価系の安定化に成功しており、この部分に関しては進捗があったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性低灌流モデル動物の脳循環代謝評価は、当研究の中核であり基本的な位置づけであった。しかしこの部分での系の安定化に様々な困難があった。当初予定していたアミロイド蓄積の評価や、ベラパミルによる血液脳関門の評価を行うためにはさらなる時間が必要であると考えられる。そこで、まずは慢性低灌流モデル動物における脳循環および酸素代謝の変化やその時間変化と、認知機能および脳組織の変化に対する検討を詳細に行い、これに関して報告を行うことを目指す。 また、臨床研究に関しては慢性脳主幹動脈閉塞、狭窄患者を対象に行ったI-123 iomazenil SPECTデータに関して、その解析をまず行う。慢性低灌流状態では「研究実施計画」に述べられた通り、脳血流、酸素代謝の変化に伴い、血液脳関門の機能が変化しているものと考えられる。この変化に伴い、酸素や薬剤の組織内への取り込み効率や速度が変化している可能性が示唆される。この点に関してSPECTの動態解析を行うことによって、その変化を明らかにすることを目指す。 また、慢性低灌流などの状態では脳内でアストログリアの活性化が示唆されているが、このアストログリア活性をC-11酢酸を用いてin vivo評価すること考慮している。また、近年活性化アストログリアは多発性硬化症の脳で認められることが報告されていることから、臨床研究としてまず健常者および多発性硬化症患者に対するアストログリア活性のin vivo評価をC-11酢酸を用いて行うことを目指す。
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Causes of Carryover |
今年度は慢性低灌流モデルに対する脳循環酸素代謝を安定して行うため、PET撮像の条件の最適化、方法の改善に時間を要した。一方で、当初予定していたアミロイド蓄積の評価、血液脳関門機能評価に関しては行っていないため、それらの予算が未使用となり次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には慢性低灌流モデルに対する脳循環酸素代謝評価および組織学的評価、活性化アストログリアの評価を行う。さらに臨床研究として多発性硬化症や慢性低灌流患者に関するPET、SPECT研究を行う。これらの研究予算として次年度使用額および次年度助成金を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Detection of altered astrocyte reactivity in multiple sclerosis patients by C-11 acetate PET2014
Author(s)
Hiroki Kato, Kazushiro Takata, Eku Shimosegawa, Kayako Isohashi, Tadashi Watabe, Mitsuaki Tatsumi, Yasukazu Kanai, Sadahiro Naka, Yuji Nakatsuji, Jun Hatazawa
Organizer
SNMI 2014
Place of Presentation
St. Louis Convention Center, St. Louis, MO
Year and Date
2014-06-07 – 2014-06-11