2015 Fiscal Year Research-status Report
慢性脳低灌流における血液脳関門物質輸送能とアミロイドβ蓄積: 脳機能障害との関連
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26462204
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 弘樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20448054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑澤 順 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70198745)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳慢性低灌流 / 脳循環代謝 / 神経炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は引き続き慢性脳底灌流ラットモデルに関して、O-15定常状態ガスPETによって脳循環代謝を評価を行う実験を行った。脳血流の評価を安定して行うためには、血液ガスの安定化が必要である。この実験系では、気管内挿管によって呼吸管理を行っているが、吸入ガス中にRIガスの占める割合が高く、吸入ガス中の酸素濃度を安定化させることが難しい。今年度は、Cold実験やHot実験を繰り返し、吸入ガスへの酸素、空気添加量、呼吸回数や1回換気量などの条件に関して最適化を行った。また、慢性低灌流状態にあるモデル動物の脳組織の変化を評価する目的で、免疫染色等を行って神経組織およびアストログリアの活性化の程度を評価した。組織学的な評価はモデル作成亜急性期、慢性期に行い、病期に伴った変化を明らかにした。慢性低灌流状態における神経炎症の評価としておこなっていた、末梢性ベンゾジアゼピン受容体あるいはTSPOリガンドを用いたPET実験に関して、この結果の解析を行った。その結果、慢性低灌流状態の亜急性期における神経炎症の程度が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は慢性脳低灌流モデルに関して、血液ガスの安定化を行うことによって、脳循環代謝を正確な計測を実現することに成功した。また、このモデルにおいて各病期における脳組織の変化を明らかにすることができた。さらに、モデル動物における神経炎症の程度を明らかにすることができた。これらの点を考慮すると、研究は概ね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は動物モデルにおける慢性低灌流の評価の安定化に力点をおいて研究を進めたが、PET実験によって、当モデルの脳循環代謝の変化を明らかにするためには、統計学的な側面において、動物の個体数がやや不足している。今後は確立した系における実験を繰り返すことによって、実験結果の統計学的な信頼性確保を目指す。また、モデル動物に対する、認知テストを行い、その結果を評価することによって、認知機能の変化を明らかにすることを目指す。 また、臨床研究として行ってきた慢性脳低灌流患者に対するI-123 iomazenil SPECTによる評価に関して、低灌流状態における脳血管物質輸送の変化を示すパラメータの同定を目標として解析を推進する。
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Causes of Carryover |
今年度最後に予定していた実験が、諸事情により実行不可能となったため、その経費の一部が使用されず、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定していた実験を、次年度行う予定である。その実験の費用として使用する計画である。
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