2015 Fiscal Year Research-status Report
てんかん発作誘導が獲得するてんかん原性と慢性炎症~てんかん原性を予防する脳内環境
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26462217
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中島 円 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50317450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮嶋 雅一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60200177)
新井 一 順天堂大学, 医学部, 教授 (70167229)
西村 欣也 順天堂大学, 医学部, 教授 (80164581)
菅野 秀宣 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90265992)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | てんかん原性 / トランスジェニックマウス / パッチクランプ / 長期増強 / ピロカルピン酸 / ロイシン / 慢性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
てんかん発作誘導によって獲得されるてんかん原性には慢性炎症が関与しており、炎症を予防する脳内環境形成がてんかん治療として有用である。ロイシンリッチリピートをもつ糖化蛋白Leucine-rich alpha2 glycoprotein (LRG1)は、哺乳類ラパマイシン標的蛋白質(mTOR)活性に関与するとされる神経アミノ酸「ロイシン」の抗炎症・抗酸化作用のメカニズムによって、神経細胞を変性や細胞死から保護すると推察され、本研究では脳内にLRG1過剰発現させた動物モデル(CAG-loxP-GFP-loxP-LRG1遺伝子導入マウス(Tgマウス)を用いて、てんかん抑制機序を明らかにしていくことを目的としている。 当該年度に実施した研究成果は、LRG1発現増加を認めるTgマウスの海馬にて海馬スライスのフィールドパッチクランプを行ない、CA1シーファー側枝にて長期増強Long-term potentiation (LTP)の評価を行なった。海馬での刺激電流の大きさと興奮性シナプス後場電位 (fEPSP)の傾きのグラフ とfiber volley活動電位、paired pulseはコントロール群WTと比較し、LRG -Tgマウスでは反応が小さく、fEPSPが小さい傾向が認められた。テタヌス刺激を与えてLTPを測定した結果、LRG-Tgマウスは、8-10週齢、24-28週齢では記憶に関与するLTPの低下は認められず、モリス水迷路試験やY字迷路試験などの行動実験により短期記憶、空間認知記憶の維持を証明した。電気生理でシナプス前反応の低下が確認され、組織学的にも海馬の苔状線維はCA3におけるmossy fiberは歯状回からCA3に投射する軸索の伸展、発達が抑制されることを確認した。臨床研究では皮質形成異常やスタージウェバー症候群の軟膜血管腫、海綿状血管腫周囲の炎症所見(HMGB1-TLR4経路)を確認し、慢性炎症がてんかん原性を形成していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度では、脳内にLeucine-rich alpha2 glycoprotein (LRG1)過剰発現させた動物モデル(CAG-loxP-GFP-loxP-LRG1遺伝子導入マウス:Tg)の安定供給し8週齢、24週齢、48週齢の若年期から老年期まで長期増強を確認し、それを裏付ける行動実験結果を得たことが成果としてあげられる。電気生理学的にシナプス前反応の低下が確認され、組織学的にも海馬の苔状線維はCA3におけるmossy fiberは歯状回からCA3に投射する軸索の伸展、発達が抑制されることを確認した。LRG1発現を管理すれば、記憶障害を来すことなくてんかん発作を抑止できる可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
脳内神経細胞内にLeucine-rich alpha2 glycoprotein (LRG1)過剰発現させたトランスジェニックマウスと対照としてワイルドタイプマウスを用いて、ピロカルピン酸てんかん動物モデルを作成し、持続的なてんかん発作症候の観察と脳波測定、そして海馬のフィールドパッチクランプ法による解析を行いデータの蓄積を行う。またてんかん原性形成の指標とされる異所性顆粒細胞の発現、苔状線維の異常発芽などに与える影響を観察する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は10074円とほぼ計画どおりに研究使用できているとおもわれた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究計画の最終年度となる本年で、持ち越された分の金額を論文作成のために使用する計画である。
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Research Products
(23 results)