2014 Fiscal Year Research-status Report
MRI情報を活用した頭蓋内血流と髄液循環動態の流体力学的解析
Project/Area Number |
26462220
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松前 光紀 東海大学, 医学部, 教授 (20209604)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
厚見 秀樹 東海大学, 医学部, 講師 (30307269)
反町 隆俊 東海大学, 医学部, 准教授 (50534731)
黒田 輝 東海大学, 情報理工学部, 教授 (70205243)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 髄液 / MRI / 流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
MRIを用い、同意を得た健常ボランティアの髄液運動を観察した。その結果脳室内では、第三脳室の髄液運動が最も強く、第四脳室と側脳室が続いた。くも膜下腔では、cisterna magnaから脳幹前面にかけての髄液運動が強く、鞍上部から外側上方に向うにつれて、その運動は急激に減弱した。特に円蓋部の髄液運動は乏しく、その運動は中大脳動脈末梢部の細い血管周囲に限られた。このように同じ組成の液体が運動する領域で、その挙動が異なることを定量化したのは、我々の大きな研究成果であった。脳幹前面のくも膜下腔と鞍上部の間にはリリクエスト膜が存在し、これが強い髄液運動伝搬の障壁になっていることが推測された。頭蓋中心部から円蓋部にかけて髄液運動が減衰する理由は、今後精査が必要である。 引き続き年齢別の髄液運動に着目し、20歳から81歳までの健常ボランティアで髄液運動の評価を行った。中脳水道の圧力勾配で検討すると、加齢に伴って圧力勾配は増加する傾向にあったが、統計学的有意差は見いだせなかった。 そこで、正常圧水頭症患者と年齢をマッチさせた健常ボランティアの間で検討を行ったところ、正常圧水頭症患者群では有意に中脳水道での圧力勾配が増加していることが判明した。この結果は本法を用いることにより、正常圧水頭症患者と健常者の区分が可能なことを示し、重要な研究成果と考えられた。 今後の課題として、正常圧水頭症群とアルツハイマー型痴ほう症群での検討を次年度行うこととした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常ボランティアの髄液運動の動態評価を終了し、患者群との比較検討に研究は進展し、順調に成果を得ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
正常圧水頭症群、アルツハイマー型痴ほう症群、血管性痴ほう症群との比較検討を加える。また健常ボランティアにおいては、呼吸性変動と髄液運動との関連性について、研究を発展させる。
|
Causes of Carryover |
研究成果をまとめた論文の英文校正費用に差が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
英文校正に使用する。
|
Research Products
(1 results)