2015 Fiscal Year Research-status Report
拡散テンソル画像と微小電極記録による視床腹部の3次元機能解剖解析
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26462224
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Research Institution | The Tazuke Kofukai |
Principal Investigator |
戸田 弘紀 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第5研究部, 研究主幹 (80414118)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 視床 / 拡散テンソル画像 / 脳深部刺激療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は運動および高次脳機能に関わるヒト視床腹部の3次元的機能解剖の解明を目的としている。 視床腹部は大脳基底核回路の統合制御を行う重要な調節中枢にあり、その複雑 な構造と運動・非運動機能にわたる多機能性のために詳細な解明が進んでいない。本研究では50 症例の脳深部刺激療法(DBS)の記録をもとに、視床下核、不確帯、prelemniscal radiation に 関する高磁場拡散テンソル画像、微小電極記録、臨床機能評価について統計学的標準化し、ヒト視床腹部の詳細な構造を機能別に構築するため、視床腹部と大脳基底核からなる回路について、運動・非運動機能に分けて検証している。これまでのところ、画像データベースの構築を終了した。また拡散テンソル画像解析のフロー化を完成させた。データの一部は電気生理学的データとあわせて学術誌に投稿し、再度内容検討を追加している。また微小電極記録のデータベース構築と合わせて、臨床効果・合併症のデータベース整備を行っている。暫定データを用いて予備的な検証として運動機能、体性感覚機能の局在を推定した。また高次脳機能に関する視床腹部の役割を検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一昨年度は本研究における画像データベース構築と拡散テンソル画像解析法を確立した。DICOM画像の匿名化したデータベース作成、画像のDICOM形式からnifti形式への変換と本研究におけるテンソル画像解析の手法を決定した。その際に複数画像の融合精度向上が課題となったが、Matlab及びAnalyzeのアプリケーションを利用して検証可能な水準となった。 昨年度は大規模データの処理を円滑に進めるために、拡散テンソル画像解析自動化を工夫し大量データの半自動解析スクリプトを作成し作業効率を改善した。これによって解析にかかる労力が軽減し、データ解釈に比重を置くことが可能となった。そこで微小電極記録マッピングデータの暫定的な検証を行い運動機能、体性感覚機能の画像解析による局在推定の妥当性を検討し、この内容を学術誌に投稿し、現在結果を再検証している。この暫定的検証の妥当性からデータ全体の検証ができる見通しが立ち、今年度はデータの標準化・統計学的解析を予定することができたため、達成度についておおむね順調な進展と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
1 基本拡散テンソル画像解析・画像処理結果の検証: 拡散テンソル画像解析結果とT1/T2/SWIの神経構造画像の画像融合・3次元画像構成: 拡散テンソル画像解析結果をMRI T1/T2/SWI volumetric画像と重ね合わせ神経回路画像を通常の構造MRI画像上に構築する。テンソル画像情報を上書きした視床腹部の解剖学的画像を構築する。 2 視床腹部機能について電気生理学的データに基づいた解析: まず視床腹部の解剖学的画像上に微小電極の経路と刺激電極の位置をプロットする。ついで微小電極記録結果は生体信号解析ソフトウェア(Spike2)を用いて分類する。これら微小電極記録の結果や電極刺激の結果を電気生理学的情報として解剖学的画像上に追加して機能解剖のマッピング図譜を作成する。その際に特にSTN、不確帯、Forel H1/H2、小脳視床路、淡蒼球視床路の解剖学的位置を図示して、これら各領域の生理学的特徴と機能を同定する。 3. 視床腹部の機能解剖と刺激点決定への応用: 上記解析結果の平均値、中央値、標準偏差を用いて機能解剖学的情報を統計学的に標準化する。今後脳深部刺激療法における有効かつ安全な刺激点決定法を導出するために、標準的脳内指標である前交連、後交連、赤核辺縁を基準とした3次元座標内に検証結果を配置する。なお個体差による補正が可能か、前後交連距離と第3脳室幅を指標に相対的な位置検出が可能か検討する。この検討を通じて視床下核・不確帯及びこれらに投射する運動関連神経束の同定が可能な刺激点決定法を導出する。
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Causes of Carryover |
1万円未満と些少であり、次年度交付分とあわせ有効活用することが適当と考えたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記推進方策に沿って、必要なコンピュータ関連品の購入等に充てる予定である。
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