2014 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷に対する低出力体外衝撃波治療による神経保護作用と神経障害性疼痛の改善効果
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26462227
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小澤 浩司 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10312563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 晴夫 東北大学, 大学病院, 助教 (40646808)
伊藤 健太 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50375086)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 低出力体外衝撃波治療 / 脊髄損傷 / VEGF / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
低出力体外衝撃波治療(以下ESWT)は血管増殖作用のみならず神経保護作用も有するとされるVEGFの発現を促進する. 我々は,ラット脊髄損傷モデルでESWTが運動機能を改善することを報告した. 本研究では, ESWTの脊髄損傷後の運動機能と神経障害性疼痛に対する効果を検討し、さらに損傷脊髄内でのVEGFの発現を詳細に検討した. SDラットにNYU impactorを用いてT10高位の胸髄損傷を作製した. 衝撃波照射はStorz Medical 社製DUOLITH SD1を用いて週3回, 3週間行った(0.1mJ/mm2, 4Hz, 400shot/2spot). SCI群(脊髄損傷のみ), SCI-SW群(脊髄損傷後に衝撃波照射)で以下の項目を検討した. 損傷後42日間の運動機能をBBB scoreで,下肢のアロディニアを von Frey test, Hargreaves testで評価した. 損傷後42日目の神経細胞数をNeuN 染色で評価した. 損傷後7日のTUNEL染色で細胞死を評価した. 損傷後7日目のVEGFと各神経系細胞マーカー NeuN, GFAP, Olig2の二重染色で, VEGF発現の局在を調べた. SCI-SW群ではSCI群に比べ, 損傷後28日目以降のBBB scoreが有意に高かった. さらにSCI-SW群でアロディニアが有意に軽減された. 損傷後42日目の神経細胞数はSCI-SW群で有意に多かった. 損傷中心部のTUNEL陽性細胞数は, SCI-SW群で有意に少なかった. 損傷後7日目の VEGF染色ではSCI群に比べSCI-SW群でVEGFの発現が有意に高かった. 二重染色ではNeuN, GFAP, Olig2陽性細胞の全てでVEGFが発現していた. 本研究から, 脊髄損傷に対するESWT によって様々な神経系細胞からVEGFが発現することが明らかになった. またESWTは損傷脊髄内の細胞死を有意に抑制した. ESWTによる広範な神経系細胞からのVEGF発現が神経保護作用をもたらし, 細胞死の抑制や運動機能,神経障害性疼痛の改善につながったと考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
行動学的解析では,アロディニアの評価である機械的刺激によるvon Frey test、熱刺激によるHargreaves testを行い,衝撃波がアロディニアを改善していることが明らかになった. 組織学的解析では,損傷後7日の損傷脊髄のパラフィン切片標本を用いて、VEGFと各種神経細胞マーカーである、NueN(Neuron)、GFAP(astrocyte)、Olig2(oligodendroglia)との二重染色を行い、VEGFが様々な神経系細胞から発現していることが明らかになった.同様に損傷後7日目の組織を用い、TUNEL染色で細胞死がの抑制されていた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,SCI群(損傷のみ),SCI-SW1W群(損傷後に衝撃波を週3回1週間照射),SCI-SW3W群(衝撃波を週3回3週間照射)の3群での運動機能をBBB scoreで,アロディニアを von Frey test, Hargreaves testで評価する.アロディニアの組織学的解析として、損傷後42日目の腰髄レベルのmicroglia、astrocyteの免疫染色を行い、グリア細胞活性を評価する.新生の評価をCD31染色やαSMA染色で行う.軸索の評価を5-HT染色やRT97染色で行っていく.また,並行して,衝撃波が骨(椎弓)を透過割合も検討する.
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Causes of Carryover |
平成26年度に実験動物麻酔装置を購入予定であったが、予定がなくなった。また、当初予定していた出張の申請もなしとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は動物実験における実験動物行動解析装置一式を購入予定である。
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Research Products
(4 results)