2015 Fiscal Year Research-status Report
「脊磁計」による非侵襲的な腰部神経根・馬尾の機能障害部位診断法の確立
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26462231
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川端 茂徳 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50396975)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脊髄機能診断 / 脊磁計 / 神経誘発磁界 / 脊髄誘発磁界 / 脊髄誘発電位 / 脳磁計 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年4月より、「脊磁計」の臨床応用、発売を目指す企業とジョイントリサーチ講座を開設し、研究開発を加速した。引き続き、「脊磁計」による腰椎部における脊髄神経機能評価法を腰椎疾患患者の診断に臨床応用するために、以下の研究をおこなった。 これまでに20代から60代の26名の健常人の左右の腓骨神経刺激後に、腰部体表面から腰部神経根・馬尾誘発磁界を測定した(合計32神経)。神経の脱分極活動に着目し、仮想電極の電流波形を用いて腰部神経活動の伝導速度を評価するアルゴリズムを新たに開発した。この成果から、世界ではじめて各年代ごとの馬尾神経の神経伝導速度の推移を明らかにし、20代から60代までの健常者のコントロールデータを確立した。馬尾の神経伝導速度が年齢とともに低下してゆくことが明らかになった。これらの成果を学会で発表し、日本整形外科学会基礎学術集会では優秀演題賞を受賞した。 腰椎神経障害患者10名の腓骨神経刺激後の腰部神経磁界を測定した。神経疾患患者では磁場が微弱なため、電気刺激のアーチファクトや坐骨切痕での遠隔電位の影響により、診断が困難であったが、遠方の信号をキャンセルするアルゴリズムを新たに開発し、神経障害患者の障害部位診断が徐々に可能になってきた。 患者でも安定して腰椎磁界を測定するために、新たな刺激電極、センサ面の角度についての発明をおこない特許出願をした。また、センサと被検者の位置関係の取得のために、単純X線撮影をおこなっているが、大型のX線源は磁気シールドルーム内に設置できないため、線量が低く、X線画像の質がよくない。メーカーと改善方法を共同で検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常者については予定数の測定を終了し、健常者のコントロールデータを確立できた。 腰椎神経障害患者については、測定の課題をひとつひとつ解決することで、診断成功への目処が立ちつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
腰椎神経障害患者の測定について、これまでにいくつもの課題を克服し、患者測定の環境がほぼ整った。今後は腰椎疾患患者の測定をさらに増やし、診断アルゴリズムの確立を目指す。
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