2015 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷修復に向けた再生阻害機構制御‐コンドロイチン硫酸を制御する新素材開発‐
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26462232
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
武内 恒成 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90206946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
依田 浩子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60293213)
鈴木 宏昌 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (30340300) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経再生 / 遺伝子発現制御 / バイオマテリアル |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄損傷治療には決定的な方法が存在しない。それは、とくに中枢神経が損傷を受けたのちには、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CS-PG)が神経再生の阻害因子として損傷後修復を抑えてしまうことが、脊髄損傷からの治療を困難にしているためでもある。CSーPGをはじめとするグリコサミノグリカンは、中枢神経系の発生・回路形成、および神経の成熟過程に多方面から機能する。我々はこのコンドロイチン硫酸(CS)の発現を低下させるノックアウトマウスを作成し、解析を進めてきた。とくにCS合成転移酵素CSgalnacT1/T2のKOマウスは、その脊髄損傷モデル実験からは損傷後の劇的な回復を見せることを明らかにするとともに、ほかのグリコサミノグリカン発現にも影響を与える相互作用システムがあることが明らかになった。この酵素をはじめとするCSの発現制御は脊髄損傷をはじめとする神経再生治療の切妙なターゲットになることを示すことができた。本研究では、さらに治療に踏み込んで神経再生医療に向けたCS発現制御を治療応用につなげるために、新しい脊髄組織部位特異的な遺伝子ノックダウン法を開発した。新しいバイオマテリアル素材を基質として、継続的な遺伝子抑制法を開発し、脊髄損傷動物モデル(マウス・ラット)では生理的機能回復などの成果を挙げることができた。実際のヒトでの応用を考えて、遺伝子ノックダウンをさらに現実的なものとするためにアンチセンス核酸誘導体を用いた制御法も進めることができた。実際に効果のあるアンチセンス核酸誘導体を利用して、マウスモデルで損傷箇所の組織解析や分子レベルでの再生過程を検討している。さらに、細胞外基質がいかに再生を制御しているかを遺伝子発現レベルで組織部位特異的な検討を加えることもできるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した以上に遺伝子発現制御技術は進めることができた。動物モデルでの解析は計画以上に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
バイオマテリアルの安定性や核酸誘導体の徐放効果などの検討をさらに進める。実際の応用を考え、本内容を当初計画以上に推進することとした。さらに組織内でのCSの存在形態や再生に与える組織的な要素も計画以上に見る必要性が課題として浮かび上がった。組織化学的解析をさらに進めて、治療応用に生かすための基盤技術とすることを目標とする。
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