2014 Fiscal Year Research-status Report
レプチン抵抗性が脊髄損傷の治療に悪影響を与えるメカニズムの解明とその克服法
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26462244
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
佐久間 英輔 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90295585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 郁雄 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70182970)
若林 健二郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20418867)
伊藤 錦哉 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50597820)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ギャップジャンクション / 移植 / 下垂体前葉 / レプチン / ズッカーラット |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は急性脊髄損傷に対する初期段階での脊髄再生治療に、下垂体濾胞星細胞を応用し、非開頭法を用いて採取した下垂体組織を腎被膜下移植しこの下垂体組織を脊損部に移植する緊急手術に応用可能な治療方法を開発する基礎研究を行っている。我々は以前に、急性脊髄損傷に対する初期段階での脊髄再生治療に、腎被膜下移植した下垂体濾胞星細胞を脊損部へ移植する実験を行った場合、遺伝性肥満ラットZucker(fa/fa)ではCNTF投与群で成績が不良で、IL-11追加投与群で成績が劇的に改善するのを発見している。我々はレプチン受容体遺伝子異常症を呈する遺伝性肥満ラットZucker(fa/fa)に見出されるレプチンの機能不全を原因とすると思われる濾胞星細胞間のギャップジャンクションの形成不全に対して、レプチン受容体と同様にレセプターの細胞内Box1, 2, 3配列が認められ、機能の重複性が予想される毛様体神経栄養因子(CNTF)を用いて治療する方法について検討し、雄のZucker(fa/fa)ラットにrecombinant rat CNTFを脳室内投与すると濾胞星細胞間のギャップジャンクションの形成が促進される事が分かった。これについては投稿準備中である。さらに、他のファクターでギャップジャンクションの形成不全が改善するかどうかの検索を行っており、それについても発表をしている。急性脊髄損傷に対する初期段階での脊髄再生治療に、下垂体濾胞星細胞を応用し、さらに非開頭法(transsphenoidal approach)を用いて採取した下垂体組織を腎被膜下移植しこれにCNTF, IL-11を皮下に挿入したリザーバーから同時持続投与して細胞移植に適切な状態を得ることの手技的な検討と同時に組織化学的な検討を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. レプチンレセプターの機能異常が下垂体前葉の濾胞星細胞間のギャップジャンクションに与える影響について、レセプターのミスセンスミューテェーションを持つZucker ラットを用いて、日齢を考慮に入れて研究をまとめて発表した。The changes of gap junctions between pituitary folliculo-stellate cells during the postnatal development of Zucker fatty and lean rats. Sakuma & Wada et al., Microsc Res Tech. 2014 77(1): 31-6. 2. また、下垂体前葉の濾胞星細胞間のギャップジャンクション形成に対するLH-RH神経及び刺激ホルモンの影響を組織化学的に研究し、結果についてまとめて報告した。 Intercellular communications within the rat anterior pituitary. XVI: postnatal changes of distribution of S-100 protein positive cells, connexin 43 and LH-RH positive sites in the pars tuberalis of the rat pituitary gland. An immunohistochemical and electron microscopic study. Wada & Sakuma et al., Tissue Cell. 2014 46(1): 33-9.
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Strategy for Future Research Activity |
1. 脊髄損傷モデルの作成:遺伝性肥満Zucker(fa/fa)ラットとコントロールとしてZucker lean(+/+)とWistarラットの各々雄の9週令を用意し全身麻酔を施し、無痛の状態とし、腹臥位にて手術台に固定し皮膚切開、傍脊柱筋剥離をし、第8~9胸椎の椎弓部を露出、次に手術用顕微鏡視下で歯科用ドリルに装着したスチールバーとダイヤモンドバーで椎弓切除し、硬膜に到る。これに縦割を加え、脊髄実質を出し、マイクロ手術用の剪刀にて脊髄実質を横断した全脊損を加える。シャムオペレーショングループとしては第8~9胸椎の椎弓切除のみを行ったモデルを作成する。 2. 脊髄損傷モデルへの腎被膜下移植下垂体細胞塊の移植:左腎を背側皮切して露出し、腎被膜下に存在する下垂体細胞塊を被膜の一部に割を入れて取り出す。これに電気生理学的検査(ガラス電極5回刺入)にて細胞間連絡の評価を加え、生理食塩水中に一時保存する。次に第8~9胸椎の椎弓切除部を再度開創し脊髄損傷部に挿入しておいたプラスチックフィルムを摘除しそこに直ちに下垂体細胞塊を挿入する。傍脊柱筋、皮膚を層々に縫合し手術を完成する 3. 脊髄損傷モデルの回復の機能的評価:後肢を中心とした運動能力と持久力の検査としてAccelerating Rotarod Tredmillを用い後肢の運動及び知覚の機能評価を行っている。現在までの予備実験ではヘミセクショングループ(部分脊損)ではZucker(fa/fa)ラットのCNTF, IL-11同時持続投与群で下垂体濾胞星細胞移植による良好な成績が認められている今後例数を増やしてさらに検討を加えていく予定である。
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Research Products
(3 results)